近年、働き方の多様化によって貿易会社・貿易業を営み、利益を上げる人が増えてきました。
そこで今回は、貿易会社の起業を検討している方に向けて、必要な基本情報をご紹介していきます。
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そもそも貿易会社・貿易業とは?
貿易会社とは、メイン事業として商品の輸入・輸出に関わる貿易業を展開する会社のことです。貿易業には、大きく輸入業、輸出業の2つがありますが、どちらかのみを展開する貿易会社もあれば、輸出入どちらも手掛ける貿易会社もあります。
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・輸入業:海外の商品を買い付けて「調達」し、日本国内で「販売」する事業
・輸出業:日本の商品を買い付けて「調達」し、海外諸国で「販売」する事業
貿易会社というと、商社に代表されるように「コンテナを活用して大量の商品を輸出入する」イメージがあるかもしれません。しかし、貿易会社の規模は実にさまざまでです。代表者一人のみで貿易業を展開する会社もあれば、副業として貿易業を手掛ける個人の方もいます。
法人or個人事業主
自分自身のための個人輸入と異なり、事業として貿易業を展開するのであれば、個人事業として開業する、あるいは会社設立して法人を立ち上げる必要があります。貿易会社での起業を検討する多くの方が悩んでいることかもしれませんが、貿易業界で経験を積んで独立起業するといったケースでなければ、個人事業からスタートし、事業の成長にあわせて法人化を検討する方向がおすすめです。
理由として、個人事業だから貿易事業の展開に制限が生じるといったことはないからです。個人事業であれば、開業届・青色申告申請書を提出するだけではじめられることもメリットです。ただし、法人として貿易会社を起業することで、さまざまなメリットを享受できるのも事実でしょう。起業当初から金額の大きな取引を開始する、一定以上の資金が用意できるといった方なら、会社設立を視野に入れておくといいでしょう。
ちなみに個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
貿易会社・貿易業の定款目的
法人で起業する場合、定款作成をしますが、定款を作成する際の事業目的の例をご紹介します。
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・貿易業務とこれに関連する投資
・貿易業務の事務代行に関する業務
・開設までに1週間程度かかる場合もあり
・貿易業務の事務代行に関する業務
・貿易及び国際ビジネスのコンサルティング業務
・貿易商社及び食料品加工業者からの委託による輸出入の代行業務
・衣料品、衣料品雑貨品、アクセサリー、かばん、靴等の輸出入
・アパレル製品・アクセサリー・かばん・靴の企画、製造、販売
・服飾雑貨の輸出入
・ブティックの経営並びに日用品雑貨の輸出入
・古着の輸入及び販売
輸入許可と届出について
海外業者への販売(輸出)、海外業者からの仕入れ(輸入)は基本的に個人でも法人でも自由に出来ますが、貿易会社で扱う商品によっては、輸入許可や届出が必要な場合があります。たとえば、以下のような商品です。
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・中古品、リサイクル品 :古物商許可
・医薬品 :薬事法による製造販売業許可
・酒類 :酒類販売業免許
・肉類・野菜・魚介類 :食品衛生法に基づく届出
医薬品の場合は、薬事法に基づく輸入販売業の許可が必要です。酒類の輸入販売を行なう場合には、酒類販売業の免許が必要です。肉類・野菜・魚介類などを輸入する場合には、食品衛生法に基づく届出が必要です。
貿易業務は、さまざまな法律に関係してくるので、自社が扱う商品を輸入する場合に、許可や届出が必要か否かは十分に調べましょう。ちなみに、これは輸入販売だけではなく、通常の小売を行う上でも必要な許可となります。
貿易関係の資格・検定
ここでご紹介する資格や検定、いずれも無くてはならないというものではなく、貿易業という特性を考えた場合に取得・合格していることで、有利に働くかもしれないというものになります。
通関士
輸出入における輸入禁止品などを判別する通関士の資格です、物品が国境をまたぐ貿易においては、何がどこまで許されていて、どのボーダーを超えるとNGなのかの知識やノウハウは強みとなりえます。ちなみに受験料は3000円と安いですが、資格を取得プラス通関の業者に勤務、税関に認定されて通関士を名乗ることが可能です。
国際航空貨物取扱士
通関士の取得と同じような理由で、航空貨物取扱いのエキスパート資格は貿易業を行う上でも有益に働く可能性は高いです。
貿易実務検定
そもそもの貿易の仕組みそのもの、いつどのような流れで、何を以て各種処理が行われるのかなどの知識を測る検定です。
銀行業務検定
海外取引においては、売り手買い手のやり取りする通貨も異なってくる場合がほとんどです。通貨為替についての専門知識に精通している事も、貿易業を行う上での一つのメリットとなりえます。
貿易会社の起業に必要な資金について
貿易会社だからといって、会社設立に特別な資金が必要なわけではありません。むしろ、設備投資が必要な店舗開業よりも少ない資金で起業・開業することが可能です。個人事業として貿易業をはじめるなら、事務所を確保する必要すらありません。
重要なのは、商品を買い付けて調達・販売するために必要な運転資金です。例えば、越境ECを活用して貿易業をスタートさせるなら、数万円から10万円程度の運転資金があれば起業可能です。ただし、貿易業では運賃を含めた諸経費も念頭に入れておく必要があります。
輸入業の目安にしたい経費
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・商品代金:海外商品の買い付けにかかる費用
・輸送代金:商品の輸入にかかる送料
・保険代金:輸送中の事故に備えた保険費用
・輸入通関費用:税関を通過させるためにかかる費用
・関税:通関時にかかる税金
・消費税:関税までを含め輸入するのにかかった費用すべてが課税対象
・国内配送代金:通関地から保管場所まで商品を運ぶ配送料
・PL保険:商品に起因する損害を補償する保険
その他、通関時の検査対象となった場合の「税関検査費用」、外部倉庫を商品保管場所として借りる場合の「倉庫保管代金」、AmazonなどのECモールを利用する場合の手数料などを考慮に入れておく必要があるでしょう。
輸出業の目安にしたい経費
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・商品代金:国内商品の買い付けにかかる費用
・輸送代金:商品の輸出にかかる送料
・保険代金:輸送中の事故に備えた保険費用
・輸出通関費用:税関を通過させるためにかかる費用
・国内配送代金:通関地まで商品を運ぶ配送料
・PL保険:商品に起因する損害を補償する保険
輸入の場合と同様、通関時の検査対象となった場合の「税関検査費用」、eBayやアリババなどのECモールの手数料などが必要になる場合もあります。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
貿易会社で起業する場合、海外ビジネス、貿易の基礎知識を身に着けておいた方がいいですが、その際にはジェトロ(JETORO)HPをご覧になる事をおススメします。
(参考)ジェトロ(JETORO)HP
基本的に、貿易会社設立といえど、通常の手続きと基本的には同じです。ただ、品目によっては許認可を取らなくてはいけないので、自分が取り扱う商品はどうなのか一度目を通すべきでしょう。また輸出入するもの特有の通関、検疫、決済方法などがありますので、そのあたりを調べてから貿易会社を設立してください。