今、テレビCMも多く放送されているライブ配信アプリですが、実はライブ配信をして大きな収益を得ている「Liver(ライバー)」と呼ばれる方が急増しています。ライバーはYouTuber(ユーチューバー)の次にくる職業として注目されています。
そこで今回は、ライバーでの開業について解説していきます。
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目次
Liver(ライバー)とは?ビジネスの特徴は?
ライバーとはライブ配信アプリを活用して配信収入や広告収入を得る個人、グループの総称です。人気ライバーであればプラットフォーム側の公式ライバーとしての収入を得るほか、プラットフォーム内の投げ銭収入で数千万円超に及ぶこともあります。初期投資が不要であるなど開業に際し有利な点もありますが、安定した収入の確保が難しいことから副業としてライバーを行っている場合も多いのが特徴です。
また、専業ライバーとなるとプラットフォーム間に芸能事務所が介在し、マネジメントを行うことも多く、ある程度の安定収入が得られるケースもみられます。その他、収入源としてではなく、プラットフォーム側からのライバーへのインセンティブ(オーディションやテレビ番組への出演等)を期待して、新人アイドルなどが活用していることもあります。プラットフォーム側からのライバーへのインセンティブは、ライバーの人気に応じて付与されます。
Liver(ライバー)での開業タイプ
個人としての開業は、個人として独自の配信チャンネルを開設。独自の切り口のもとライブ動画を配信し、地道にチャンネル登録者の増大を図る「新規参入型」の一択となりますが、参考としてその他の開業タイプを以下でお知らせします。
副業型
副業として、配信チャンネルを開設するケースです。少ないリスクで開業することが可能になります。
兼業型
本業を広告するための手段、本業へ顧客を誘導する手段としてプラットフォームを利用するタイプです。新人アイドルなどの芸能系から弁護士や税理士、パーソナルトレーナーまで、幅広い業種がみられます。
Liver(ライバー)での必要手続き
ライバーとして個人で開業する場合に、公的機関への許認可といった特別な手続きは不要です。
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
そして収益化には配信を行うプラットフォームごとに配信時間や視聴者数などの審査基準があり、プラットフォームごとにそれらの審査基準を満たす必要があります。
『Liver(ライバー)事務所』として開業する場合には法人でなくてはいけない!?
ライバー事務所として開業する場合には法人でなくてはいけません。理由としてはライバー事務所となる為、ライブ配信アプリ側が要求している条件になるからです。有力なライブ配信アプリである、17LIVE・Pococha・BIGO・SHOWROOMのエージェント契約の中で「契約は法人のみ」となっています。
また法人だからといって全て審査が通るわけではありません。現状、エージェント契約をしている所が増加していますので、今後ますます審査が厳しくなる可能性があります。自社がライバーをきちんとマネジメントできる体制になっているかが問われてきます。
重要なのは配信内容とマッチしたプラットフォームの選択
ライブ配信にも様々なジャンルがありますが、プラットフォームごとに客層やマッチするジャンルは異なるため、新規参入する際には、自身のチャンネルのコンセプト設定を明確にした上で最適なプラットフォームを選択することが必要となります。特にYouTuberのように広告収入がメインの動画配信者とは異なり、ライバーは基本の収入源は視聴者からの寄附であるため、視聴者の囲い込みが重要です。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
配信内容や方向性にもよりますが、ライブ配信という性格上、原価等の負担は軽く売上総利益率は高位となり、その粗利から主に人件費を賄っていくこととなります。開業当初は視聴者も多くはなく、得られる投げ銭が伸びないため、大きな収入は期待できません。視聴者のニーズを捉え、視聴者の囲い込みに成功すれば、売上を大幅に増やすことも夢ではないです。
人気商売であるため、必ず視聴者に好かれるような方法はないですが、「素の状態で好かれるような人間性」や「常に努力する姿勢」、「視聴者を飽きさせない高い更新頻度」などは、視聴者の囲い込みには必須事項になります。