飲食店を開業するにあたり物件選びは大変重要です。飲食店は約7割が立地で決まるともいわれています。そして物件選びで重要になってくるのが商圏調査です。
今回は、これから物件選定をする方が知っておきたい『商圏調査』について解説していきます。
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商圏とは?
商圏とは、お店の利用者やターゲット層が生活や仕事をしている範囲のことです。基本的に飲食店商売の主要な範囲ということになります。業種や業態が異なれば、商圏も異なります。例えば、コーヒーショップ・カフェなどは極めて商圏は狭く、レストランなどであれば商圏は非常に広いと考えることができます。
目安として、住宅地のコーヒーショップ・カフェであれば徒歩5~10分以内、駅前商店街にあるレストランであれば3駅隣まで、郊外の駐車場付きのファミリーレストランならば車で20分圏内というように、立地や業態によって商圏の範囲は大きく変化します。そして、お店の業態や出店する場所が、乗り換えができるターミナル駅なのかビジネス街なのか住宅街なのかなどの街の特性によって商圏が変わってきます。
商圏とは単純に店からの距離だけで決まるものではありません。しっかりと商圏を理解、正確に見極めることができれば、様々な戦略を練りやすくなります。
商圏調査の方法
情報を調べる
ただ漠然と物件の周りを見たり、周辺の競合店を確認するだけではなく、まずは商圏エリアを知ることから始めましょう。パソコンや紙の地図で山・坂、河川、幹線道路、線路などを確認し、来店者が来ないであろう要素を探しましょう。そして、駅、大型の施設(工場、公園、商業施設等)など人が集まる場所をチェックします。更にターゲット層(例えば主婦がターゲットであれば幼稚園や学校など)が集まりそうな場所をチェックします。
次に、人口の特性を調整する為に、総務省統計局が整備し、独立行政法人統計センターが運用管理を行っているe-Statなどを使ってターゲット顧客層がどこに住んでいるかを大まかに把握しましょう。
実際に商圏に行ってみる
次に、実際に商圏に行ってみましょう。業態が似ている店舗や多店舗など、客単価、客層、店舗の宣伝の仕方などを調査しましょう。更に、商圏内の「通行の流れ」を確認することも大切です。実際に徒歩や自動車などで移動しながら調査することもお勧めします。
最後に、事前に調べている情報と、商圏に行ってみた生の情報を合わせてみて判断することが得策です。
飲食店の商圏範囲を決める時の注意点
飲食店の商圏範囲を決める時には、データの数値だけではない地理的なポイントや、視認性やコンセプトといった点も意識しましょう。商圏範囲を決める時に注意しておきたいポイントを3つ解説するので、出店計画を立てる際の参考にしてください。
商圏範囲を狭める障害物をチェックする
通常、商圏範囲は店舗物件を中心とした円形で構成されますが商圏範囲の中に障害物がある場合はその限りではありません。例えば線路や河川、幹線道路等が商圏範囲を横切っている場合、その向こう側からの利用者は通常よりも少なくなるでしょう。商圏範囲の中に大型施設、人気の飲食店がある場合も同様です。地図を見て半径を確認するときには、半径内にどんな施設があるか、地理がどうなっているのかなど、自社商圏の分断要因がないかチェックしましょう。
建物・看板の視認性も確認する
商圏範囲を元に出店する場所を決める場合、実際にその立地がどのように見えるかも確認しなければなりません。たとえ理想的な商圏範囲の中心であったとしても、店舗が見えず、作成した看板が見えなかったとしたら、人の目に留まらずお客様を逃してしまう可能性があります。商圏範囲を決め、出店場所をピックアップしたら実際にその場所に訪れ、道路からどのくらいの距離で見えるのか、周辺からの見え方を観察し「目立つ場所かどうか」をしっかりと確かめましょう。
商圏の特性と店舗のコンセプトを比較する
商圏の特性とお店のコンセプトを合わせるのも、繁盛店にするためには欠かせないポイントの1つです。たとえ人通りが多く一次商圏にふさわしい場所でも、サービスが良かったとしても、その地域に暮らす人が求めているコンセプトの店でなければ利用者を増やすことはできないでしょう。学生街に高級飲食店、ビジネス街に子連れの家族世帯向けレストランといったような地域の特性とずれた店舗を作らないように、商圏調査と潜在顧客のリサーチは必ず行いましょう。
飲食店の商圏設定は将来性も重要になる!?
商圏の範囲は常に変化しています。近隣にショッピングセンターができたり、幹線道路が整備されたり、個人単位のレベルでは引っ越しや出生、死亡等があり、町自体を考えると20年から30年の期間で世代交代が行われ、子どもの世代が転居、独立をしていきます。このような理由で、商圏は広くなることも狭くなることもあります。常に商圏内の情報を収集し、柔軟に対応できるようにしておくことが大切です。また、競合店等が閉店していないかの確認も定期的に行うべきです。突然売上が増え、原材料の欠品やオペレーションの混乱を防ぐこともできます。
特に、商圏を広く設定している場合は、同業種だけでなく異業種やインターネットサービスの影響も受けやすくなり、競合が多くなることも。広い視野でリサーチを継続しましょう。反対に商圏を狭く設定している場合には、商圏外の影響を受けにくいものの、悪い評判が広がりやすいというデメリットがあります。地域に根ざしたサービスの提供がカギになるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?商圏調査は細かく調べようとするとかなり時間がかかりますが、前述でもお知らせしましたが、飲食店は約7割が立地で決まるともいわれていますので、時間が許す限り綿密に調べておく事をおススメします。
そして、自分だけで調べていると偏ったデータになってしまう可能性がありますので、他の飲食店経営者等に話を聞いてみましょう。