テナントよりも初期投資金額が抑えられ、開業しやすいのが自宅サロンです。では自宅で開業できる美容系サロンはどのような種類があるのでしょうか?
今回は、自宅で開業できる美容系サロンの種類とそれぞれのサロンの資格をご紹介していきます。
目次
自宅で開業できる美容系サロンの種類とそれぞれの資格
まず、自宅で開業できる美容系サロンの種類とそれぞれの資格をご紹介します。
脱毛サロン
脱毛サロンを自宅や賃貸マンションで経営される方も多くいらっしゃいます。脱毛機器は決して安くはありませんが、大きなものではないので間取りもそれほど必要ではありません。6畳程度の部屋に脱毛機器と施術を行うためのベッドがあればすぐに開業が可能です。医療脱毛ではなくエステ脱毛ならば、開業する際に必要な資格もありませんので、開業の難易度は低めと言えるでしょう。
ちなみに脱毛には、シェービングや毛抜きなどによる自己処理から、最新の機器を使った方法までいろいろな方法があります。最も有効とされているのは、毛根とその周囲に強力なダメージを与えるレーザー脱毛です。しかし使い方を誤ると肌にダメージを与える可能性が高いので、医師のいる医療機関でしか施術できません。美容サロンでの施術としては、レーザーの代わりに出力を押さえた光を使った光脱毛、毛穴の中に針を差し込み毛根の組織を破壊するニードル脱毛、ワックスで脱毛し一時的にツルツルにするワックス脱毛などがあります。
脱毛サロン開業に必要な資格
エステ脱毛サロンを開業するのに美容師の様な国家資格や特別な免許などは必要ありません。いわゆる医療脱毛と呼ばれるレーザー脱毛やニードル脱毛の場合は資格が必要になりますが、一般的な脱毛サロンで行われている光脱毛で施術を行う場合には届け出や資格などは一切必要ありません。その為、脱毛サロンはどなたでも開業することが可能です。ただ、脱毛には民間資格がいくつか存在しています。一般社団法人 日本脱毛安全普及協会が行っている「脱毛士検定」や一般社団法人 日本エステティック振興協議会が行っている「認定美容ライト脱毛」資格制度などがあげられます。
ネイルサロン
ネイルアートをはじめとする、爪のお手入れをしてくれるサロンです。自宅ですることもできますが、出張型サービスでお客様のご自宅に伺うスタイルもあります。ネイルサロンはネイルテーブルとチェア・ネイル用品一式があれば開業できるため、比較的開業しやすいといわれています。大きなスペースがなくても問題ないため、自宅で開業するのにピッタリです。
ネイルサロン開業に必要な資格
ネイルサロンを開業するにあたり、必須の資格はありません。美容室など「美容所」を開設する場合は保健所への事前申請が必要ですが、ネイルサロンにはその必要もありません。ただし、知識や高い技術力をアピールするためには、資格を持っていることが有効に働くことも多いです。民間団体の発行する資格として最もポピュラーなのが「公益法人日本ネイリスト協会(JNA)」が主催する「ネイリスト技能検定試験」「ジェルネイル検定」です。
まつ毛エクステ (まつエク) サロン
最近では、美容サロンなどでまつ毛エクステのサービスを導入する店舗も増えており、まだまだ伸びしろのある業界といえるでしょう。こちらもネイル同様に大がかりな機械設備を用意する必要性がないので、自宅でもサロンの開業がしやすい業種の1つです。ただし、施術には美容師資格の取得が必須です。保健所に美容所登録をして検査にもクリアしなくてはならず、未経験や無資格での開業はできません。まつ毛エクステの施術をする人は一般にアイリストと呼ばれ、サロンはアイサロンやアイラッシュサロンなどとも呼ばれます。アイリストは、まつ毛エクステのほかまつ毛パーマを施すことも可能です。
まつ毛エクステ (まつエク) サロン開業に必要な資格
まつ毛エクステサロンを開業するためには、国家資格である「美容師免許」が必須です。かつては不要でしたが、施術後のトラブルが多く発生したことから美容師免許の保持者のみが施術可能というルールが定められました。さらに自宅サロンとして開業する場合には、保健所に自宅を美容所として登録する必要があります。保健所の環境衛生監視員による検査もあり、問題がなければ「美容所確認済証」が交付されます。健康被害を防ぐための美容師免許ですが、その国家資格には2022年5月現在、まつ毛エクステに関する内容は入っていません。そのため、技術を確かなものにするにはまつ毛エクステ独自の資格を取っておくのがおすすめです。例えば「JEA日本アイリスト協会」「JECA日本まつ毛エクステンション認定機構」「NEA日本まつ毛エクステ協会」「JEBA日本まつ毛美容協会」などの各団体による技能検定があります。
エステサロン
エステティシャンとして自宅で開業する方もたくさんいます。自宅でサロンを開業し、経営が安定してきたタイミングで店舗型サロンへと切り替える方も多いです。エステサロンといっても、アロマテラピーやマッサージを取り入れたものなどさまざまです。施術メニューによっては資格や免許がなくてはいけないものもあります。開業にどのような手続きが必要なのか、しっかり確認してください。
エステサロン開業に必要な資格
エステティシャンになるのに必須な資格はありません。しかしメニューに整体や針灸、指圧を取り入れる場合には、それぞれの国家資格が必要です。無資格でこうした施術を行うのは違法なので避けてください。アロマテラピーやリフレクソロジー、ハンドマッサージなどについては、特に資格は必要ありません。こちらも、エステティシャンとしての民間資格がいくつかあります。有名なのは「一般社団法人日本エステティック協会」の認定エステティシャン、認定トータルエステティックアドバイザーや「一般社団法人日本エステティック業協会(AEA)」のAEA認定エステティシャンです。
リラクゼーションサロン
いわゆるマッサージを行うサロンです。パソコンでの作業や、在宅ワークが増えたことで肩こりや身体の不調を訴える方は増えています。また癒しを求める方や、ダイエットやデトックスなど美にこだわる方も増えてきました。そのためリラクゼーションサロンの需要も高まっています。リラクゼーションサロンもエステサロンと同様、どのような施術を行うかによってさまざまなメニューがあります。しかしあくまでもリラクゼーションサロンはお客様の身体・精神的な癒しを与えるものです。治療行為ではないため、サービスの表記には十分注意してください。
リラクゼーションサロン開業に必要な資格
治療目的でないリラクゼーションやマッサージのサロンにも国家資格はありません。「セラピスト」という呼び名もありますが、資格の有無にかかわらず施術を行う人の総称として使われています。ただし厚生労働省による通達で、「マッサージは柔道整復師・あんま鍼灸師などの国家資格保持者でないと行えない」と規定されています。それらの資格がない場合には、「ボディケア」「もみほぐし」といったメニューにし、リラクゼーションを軸としたもので「治療行為ではない」ことを明示する必要があります。リラクゼーション系の民間資格には、「ボディケア系」「リンパ系」「アロマ系」などさまざまな種類や団体ごとの違いがあります。
自宅サロンの悩みや開業に際し気を付けておいた方がいい事とは?
ここからは、自宅サロンの悩みや開業に際し気を付けておいた方がいい事について説明していきます。
どんな人か分からなくて怖い
自宅で開業するとなると、お客様に住所を知られたりして、広告を出しづらいなどセキュリティー面で心配があるという声を良く聞きます。個人経営の場合は、スタッフがいないためお客様と2人きりでの施術になってしまうため不安を抱えることもあるでしょう。特に女性の場合は男性のお客様は紹介のみ、防犯カメラの設置といったトラブル防止策をしている方もいらっしゃいます。ホットペッパービューティーでの自宅サロンの掲載の場合は、特定されない範囲の住所を掲載し、実際に予約が入ってから直接メールで住所を連絡するといった対策が取られているので安心です。
マンションの契約で違法にならないか不安
賃貸マンションで経営される場合は、契約時に事務所の利用や開業目的で借りることができないとされている場所も多いです。近隣の方にとっては、見知らぬ人がマンションに出入りしていることを良く思わない方も多いので、管理人の方に確認した方が良いでしょう。細かい部分だと管理人さんからの許可をいただいても、建物の作り(防火設備)の関係で不特定多数の方が出入りする営業はできないと定められていることもあり、違法となってしまう場合もあります。マンションで開業を検討されている方は、トラブルにならないように契約前に事前に確認しておくことが大切です。
入浴・シャワー設備の設置も保健所に届出する
マッサージサロンなどで、施術後に利用してもらうシャワールームを併設するなどの場合もあるでしょう。その場合は、「公衆浴場法」という法律に基づき都道府県の保健所への届け出が必要です。脱衣所の床面積などの基準を満たす必要もあるので、工事前の設計段階で保健所に相談してください。
美容所登録について
上記でも記述しましたが、まつエクサロンの開業には、施術者が美容師でなくてはならないことから、保健所への「美容所登録」をしておく必要もあります。保健所に開設届を出し、検査を受ける必要があります。医師の診断書などの提出も必要です。そのため、税務署への開業届よりも先に保健所への届け出を行います。ただし法人の場合は、保健所に登記簿謄本を提出する必要もあります。検査では、施設が美容所としての要件を満たしているかなどが確認されます。内装工事が必要となる場合もあるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、自宅で開業できる美容系サロンの種類とそれぞれのサロンの資格をご紹介しました。
美容サロン業界では厳しい競争が続いており、価格競争も激しく、大手サロンの中には、個人経営のサロンには太刀打ちできない価格設定で営業しているところもあります。ただ、生き残っている小規模なサロンがないわけではありません。確かな技術力と居心地のいい空間があれば、多少値段が高くても選んでくれるお客さまはいます。大手にはできないきめ細やかなサービスをするなど付加価値をつけ、お客さまに選ばれるオンリーワンの自宅サロンを目指しましょう。