応募してきた求職者、面接をした候補者が、自社の求める人材ではなかった場合に作成・送付する不採用通知。通知を受けた相手は、不採用が決まったことに少なからず落胆するものでしょう。企業側としてはそのような候補者の心情に配慮し、不採用通知を作成・送付する際にはできるだけ相手にマイナスの印象を与えないようにすることが大切になります。
そこで今回は、不採用通知の基本についてや、文例をご紹介します。
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そもそも不採用通知とは?
不採用通知とは、求人に対する応募者に不採用を知らせるための書面のことをいいます。応募してくれたこと、受験してくれたことに対するお礼を忘れずに述べるとともに、求職・就職希望者の立場に立って、丁寧で礼儀正しい対応を心掛けます。
ちなみに不採用通知には、「書類選考で不採用となった場合の通知」「試験や面接での選考の結果、不採用となった場合の通知」の2種類があります。
不採用通知の重要性
不採用になったとはいえ、候補者は、自社に興味を抱き、選考過程に進んでくれた貴重な存在です。不採用通知は「候補者と自社の今後をつなぐもの」と位置づけて作成・送付すると良いでしょう。採用活動を通じての出会いをきっかけに、自社のファンになってもらったり、顧客であり続けてもらえたりするように心がけるのも大切です。
特にスカウト型採用の場合、候補者は自ら応募してきたわけではなく、企業側から声をかけたことで選考が始まります。不採用を伝える際の対応によっては、企業にマイナスのイメージを与えかねません。経験やスキルの観点で、採用見送りになった場合も、きちんとしたフォローが不可欠です。
不採用を伝える手段
不採用を伝える手段には、いくつかの選択肢があります。ここでは主なものを紹介します。
メール
企業側も候補者も都合が良いタイミングで送信・確認することができるうえに、形にも残るため、現在では最も一般的な連絡手段でしょう。企業にとっては、他の手段より手間を軽減でき、コストを抑えられるというメリットもあります。
なお、早朝・深夜の送信は控え、一般的な就業時間内(9:00~17:00頃)に送ることで、見落とされることの防止にもつながります。
電話
少しでも早く候補者に伝えたい場合、電話で連絡する方法もあります。より誠意が伝わりやすい一方で、候補者が仕事中などですぐに連絡がつかない場合も考えられます。
手紙(書面)
メールが普及する以前、不採用通知は郵送するのが一般的でした。現在も「正式な書類は郵送する」という企業もありますが、メールでも悪印象を抱く候補者は少ないでしょう。ただ、履歴書や作品集などを返却する場合は、不採用通知と一緒に封書で送ることをおすすめします。応募書類を送付せずに不採用通知だけ送る場合も、あまり他人には知られたくないデリケートな内容なので、ハガキではなく封書で送ります。
不採用通知を出す・知らせるタイミング
応募者は選考結果によって今後の予定が決まるので、できる限り早い報告を待っています。文書での通知を予定している場合でも、判定が出た時点でメールでお知らせしましょう。ケースバイケースですが、面接や審査から3日~1週間以内に不採用のお知らせをするのが一般的です。結果が出るまでに1週間以上かかる場合は、いつ頃に合否判定がでるかを伝えておくと応募者のストレスが幾分軽くなります。
ちなみに求人への応募の際に人材紹介会社を介在している場合は、本人ではなくエージェントに不採用の報告をします。本人には仲介業者から知らせるルールです。仲介業者は企業が求める人材を求職者の中から選び出すのが仕事です。そのため、不採用になった理由をエージェントに説明してください。これが、次回以降のミスマッチを防ぐための対策になります。
不採用通知の基本的な構成内容
不採用通知メールに必要な構成内容は、大きく分けて以下になります。各ポイントについて説明します。
件名
件名はシンプルでOKです。結果の通知であることと企業名が分かれば問題ありません。応募者は選考関連のメールが日々たくさん届いているので、【選考結果のご連絡】など分かりやすい件名に設定しましょう。
応募者名
冒頭の応募者名は、苗字だけではなくフルネームで書くのが好ましいです。応募者が多い場合は氏名を間違えてしまう場合もあります。氏名も個人情報ですので、リストなどを見ながら間違いがないように確認しましょう。
挨拶・謝意
不採用通知メールは、会社からの公式な通知です。会社を代表して送るため、失礼のないようきちんと挨拶と謝意から入ります。特に謝意については、応募してくださったことや、面接を受けてくださったことへの感謝を伝えましょう。
選考結果
本題である、不採用という選考結果を伝えます。『不採用』という文言は直接的過ぎて失礼になる可能性があるため使うべきではありませんが、気を遣って遠回しな表現はせずに、「今回は採用を見合わせて頂くこととなりました」と分かりやすく書きましょう。
応募書類の取り扱い
不採用となった場合、会社側で保管している履歴書・職務経歴書をどう取り扱うかも明記します。住所や電話番号など重要な個人情報が詰まった書類ですので、対応方法はきちんと決めておきましょう。郵送で返却する企業もあるかと思いますが、応募者が多い場合は対応しきれないケースもあるかもしれません。そのため、『自社で責任をもって破棄する』と伝えるのがよいでしょう。
締めの挨拶
最後に、締めの挨拶文を入れましょう。応募者の今後の幸せを祈っていることを伝えて締めくくります。手紙の場合は、それに加えて「敬具」も付け加えましょう。よく使われる文面として「末筆にはなりますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈りいたしております。」「〇〇様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。」などがあります。
不採用通知の文例
最後に、不採用通知の文例を紹介します。まずは、どの選考過程においても書くべき要素をまとめました。そのうえで、選考段階を(1)書類選考(2)選考過程の初期(3)最終面接と3段階に分け、それぞれについて、書類返却がある場合とない場合の6パターンの文例を示しますので、参考にしてください。
(1)書類選考で不採用となった場合
<履歴書返送なし>
〇〇 〇〇(フルネーム)様
▲▲▲▲株式会社 採用担当の△△です。
この度は弊社の採用選考にご応募いただきありがとうございました。
〇〇様にご応募いただいた書類について社内で厳正なる選考を行い、
誠に残念ながら、今回はご希望に添えない結果となりました。
ご要望に添えず大変遺憾ですが、何卒ご了承お願い申し上げます。
なお、ご提出いただいた書類につきましては、弊社の方で責任を持って破棄いたします。
末筆にはなりますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈りいたしております。
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▲▲▲▲株式会社
採用担当△△
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<履歴書返送あり>
〇〇 〇〇(フルネーム)様
▲▲▲▲株式会社 採用担当の△△です。
この度は弊社の採用選考にご応募いただきありがとうございました。
〇〇様にご応募いただいた書類について社内で厳正なる選考を行い、
誠に残念ながら、今回はご希望に添えない結果となりました。
ご要望に添えず大変遺憾ですが、何卒ご了承お願い申し上げます。
なお、ご提出いただいた履歴書につきましては、履歴書に記載されております住所へご返送いたします。
末筆にはなりますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈りいたしております。
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▲▲▲▲株式会社
採用担当△△
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(2)選考初期で不採用となった場合
<履歴書返送なし>
〇〇 〇〇(フルネーム)様
▲▲▲▲株式会社 採用担当の△△です。
この度は弊社の採用選考にご応募いただきありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、弊社まで面接にお越し頂いたこと、重ねてお礼申し上げます。
〇〇様の応募書類や面接を踏まえて社内にて厳正に検討し、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変遺憾ですが、何卒ご了承お願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、弊社にて責任を持って処分させて頂きます。
末筆にはなりますが、〇〇様の今後のご活躍、ご健勝を心よりお祈りいたしております。
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▲▲▲▲株式会社
採用担当△△
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<履歴書返送あり>
〇〇 〇〇(フルネーム)様
▲▲▲▲株式会社 採用担当の△△です。
この度は弊社の採用選考にご応募いただきありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、弊社まで面接にお越し頂きましたこと、重ねてお礼申し上げます。
〇〇様の応募書類や面接を踏まえて社内にて厳正に検討し、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変遺憾ですが、何卒ご了承お願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類を同封しておりますので、ご査収ください。
末筆にはなりますが、〇〇様の今後のご活躍、ご健勝を心よりお祈りいたしております。
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▲▲▲▲株式会社
採用担当△△
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(3)最終面接で不採用となった場合
<履歴書返送なし>
〇〇 〇〇(フルネーム)様
▲▲▲▲株式会社 採用担当の△△です。
この度は弊社の採用選考にご応募いただきありがとうございました。
また、お忙しい中度々面接にお越し頂きましたこと、重ねてお礼申し上げます。
〇〇様の応募書類や今までの面接を踏まえ、社内にて厳正に検討し、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変遺憾ですが、何卒ご了承お願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、弊社にて破棄させていただきます。
末筆にはなりますが、〇〇様の今後のご活躍、ご健勝を心よりお祈りいたしております。
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▲▲▲▲株式会社
採用担当△△
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<履歴書返送あり>
〇〇 〇〇(フルネーム)様
▲▲▲▲株式会社 採用担当の△△です。
この度は弊社の採用選考にご応募いただきありがとうございました。
また、お忙しい中度々面接にお越し頂きましたこと、重ねてお礼申し上げます。
〇〇様の応募書類や今までの面接を踏まえ、社内にて厳正に検討し、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変遺憾ですが、何卒ご了承お願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、履歴書に記載された住所に返送いたしますのでご査収ください。
末筆にはなりますが、〇〇様の今後のご活躍、ご健勝を心よりお祈りいたしております。
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▲▲▲▲株式会社
採用担当△△
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まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、不採用通知の基本についてや、文例をご紹介しました。
不採用通知メールは、採用に関わっていれば必ず送らなければならないものです。かつ、企業のイメージを左右する大切なメールです。採用の規模が大きければ大きいほど送る通数も多くなり、毎回文章を書くとなると労力と時間は計り知れません。また、不採用を伝えるメールだけに、精神的な負担も大きいでしょう。だからこそ最低限必要な内容を網羅し、応募者の方が不快にならないような内容のテンプレートを作り、一部を編集して送るだけにしましょう。