観光目的の訪日旅行(インバウンド)の受け入れについて、岸田総理大臣は6月10日から再開することを表明しました。今回の表明により訪日外国人観光客の受け入れが再開され、大きな経済効果がもたらされる可能性があるため、それに備えて企業は適切な準備をしておく必要があります。
そこで今回は、インバウンド対策のポイントや準備しておくべきことについて解説していきます。
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そもそもインバウンド対策とは?
インバウンド(inbound)とは、英語で「入ってくる」という意味を表します。日本の各業界では、一般的に「インバウンド」=「日本に訪れる外国人観光客」という意味で使われています。インバウンド対策とは、外国人観光客に向けた、観光をよりストレスなく過ごしてもらえる施策を行うことです。
例えば、飲食店で多言語対応のメニューを用意したりタブレットでの注文システムを導入したりする事例が該当します。また、「駅前にわかりやすい看板や標識を設置する」「訪日外国人向けの案内場を設ける」などもインバウンド対策の一例です。
ただし、外国人観光客が日本での滞在中に困らないようにする施策だけがインバウンド対策ではなく、「体験型観光コンテンツ」という方法もあります。例えば、訪日した外国人たちに日本独特の文化や料理などを直接体験しても触れてもらうことも、インバウンド対策の一つで人気が高い傾向です。
インバウンド対策の成功ポイントについて
以下ではインバウンド対策を成功させるポイントを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
ターゲットを明確化する
まずはインバウンド対策のターゲットを明確化させることです。対策を行う目的をしっかり見定めることができれば、ゴールも明確になり、結果としてそこにたどり着くまでにやるべきことが浮かび上がってくるでしょう。さらに、ターゲットを定めることで、外国人観光客の求めるものもわかりやすくなるはずです。
インバウンド対策を成功させるためには、目的やターゲットから絞り込むことが鍵となります。まずはじめに考えるべき要素でしょう。
外国人観光客の目線で魅力やウケるポイントを把握・考える
インバウンド対策は外国人観光客の目線で行うことが肝心です。日本人にとって良いものが、外国人にとっても良いものかどうかはわからないので注意しましょう。反対に日本人にとっては取るに足らないものでも、外国人にとっては大変魅力的なものに映る場合もあります。
そのため、インバウンド対策を行う際は、外国人にとって魅力的か、外国人にウケるかという観点から検討を重ねるのがおすすめです。外国人の価値観や感覚がわからない場合は、インターネットで口コミを調べたり、何らかの仕方で外国人にアンケートを取ったりして、偏りや先入観のない「外国人目線」を理解するのが良いでしょう。
魅力を正確に伝えられるコンテンツを用意する
魅力を把握できた後は、これらを正確に伝えるためのコンテンツが必要になります。サイトを立ち上げたりブログを公開したりして、外国人たちに向けて発信するのです。画像や文章などを巧みに使い、魅力を存分に伝えましょう。この際、外国の人たちでも読めるように多言語対応するべきなのは言うまでもありません。
外国人の受け入れ体制を整える
少し敷居が高いですが、実際に外国人スタッフや多言語を話せる方を採用することも効果的です。特に、ターゲットとしている国籍や地域に合わせての外国人スタッフを雇うことで、料理の詳しい説明やルールについて周知がしやすくなります。日本人では分からない食文化や、食習慣にも柔軟に対応できるので、細やかな接客が可能となるでしょう。
国の補助金について知る
国の補助金について知ることも大切です。外国人観光客が増えている近年、政府もその対策として、インバウンド対策に有用な補助金を用意しています。インバウンド対策には資金がかかるという側面もありますが、補助金を上手く活用することで、外国人の集客を成功させることができるかもしれません。
インバウンド対策として準備しておくべきこと
インバウンド対策のために準備しておくべきことには、主に以下があります。
サイトの多言語化
インバウンド対策にはサイトを構築するのが効果的な手段です。しかし、その際には、多言語化が望ましいでしょう。なぜなら、日本語のサイトだけでは彼らに魅力などが正確に伝わらない可能性が高いからです。サイトだけでなく、街中に掲示するポスターや立て看板などの多言語化も忘れないようにしましょう。
せっかくサイトを見て訪問してもらったにもかかわらず、現地の案内が不親切では外国人たちが困惑してしまいかねません。また、国際会議やイベントを誘致した際には、場内アナウンスも多言語化対応したほうが良いでしょう。
Wi-Fi環境の整備
訪日外国人が心配する点としてWi-Fi接続の整備が整っているかという点。スマホやPCを使って、様々なことを調べるためにインターネットに繋がる環境が整っているかというのは非常に大切な点となります。最近では街中やデパート、ショッピングセンター内にFREE Wi-Fiを設置したりWi-Fiスポットとして無料サービスを提供する店舗も増えてきています。それでもまだまだ外国に比べるとWi-Fi環境も足りていないという懸念点があるのです。
飲食店や小売店、観光スポット等は外国人が多く訪れる場所であるため早急の対応が必要でしょう。無料Wi-Fiが整っていることをアピールすることで、集客にも繋がるはずです。
SNSの運用
地域の魅力を認知してもらううえで、SNSは非常に有効な手段です。SNSには、FacebookやInstagram、Twitterなどがあり、日本だけでなく海外でも多くのユーザーがいます。海外向けのアカウントを作成し運用することで、認知の拡大が効果的に図れるでしょう。
SNSを発信する際には、文章だけでなく画像や動画などを駆使すると、魅力がより伝わりやすくなります。ちなみに、日本ではTwitterユーザーの比率が高いですが、世界的にはFacebookの利用者が多い傾向です。情報を届けやすくするためにも、複数のSNSを運用することをおすすめします。
決済サービスの導入
訪日外国人が感じている不便や不満で多いことの一つに、キャッシュレス決済があります。海外の多くの地域では、クレジットカードや電子マネー、スマートフォン決済が多く使われていますが、日本ではキャッシュレス決済があまり進んでいないのが実情です。効果的なインバウンド対策を行うには、多様性のある決済サービスの導入は避けて通れません。特に、MICEの参加者は消費額が多い傾向のため、現金以外の決済方法を用意しておくことが大切です。
インバウンド対策で使える補助金とは?
観光庁では、日本を訪れる外国人の観光の満足度向上のための事業計画をしています。またそれに伴い、外国人観光客のニーズが集中する事業に対して、経費の一部を補填することも発表されています。
ただしそれらは常に募集しているものではありません。ここでは、現在募集されている事業についてご紹介いたします。
宿泊施設バリアフリー化促進事業
観光庁は、旅館・ホテル等の宿泊施設が実施するインバウンド受入環境整備の取組を支援する「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金(宿泊施設バリアフリー化促進事業)」の公募を3月31日より開始しています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止期間を将来の観光需要回復に向けた積極的な「助走期間」と位置づけ、反転攻勢に転じるための基盤とすべく、宿泊施設のバリアフリー化改修のインバウンド受入環境整備を支援しているものです。
公募期間は3月31日~6月30日となっています。
宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業
上記の他に、観光庁は旅館・ホテル等の宿泊施設が実施するインバウンド受入環境整備の取組を支援する「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金(宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業)」の公募も3月31日より開始しています。
同じく新型コロナウイルスの感染拡大防止期間を将来の観光需要回復に向けた積極的な「助走期間」と位置づけ、反転攻勢に転じるための基盤とすべく、宿泊施設のWI-FI環境の整備や案内表示の多言語化等のインバウンド受入環境整備を支援しています。
公募期間も同様に、3月31日~6月30日となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、インバウンド対策のポイントや準備しておくべきことについて解説しました。
インバウンド対策には、コストのかからないものからコストのかかるものまで様々ありますが、仮にコストをかけた場合でも集客に繋げることで十分回収できる費用感で対策することができるでしょう。インバウンドの恩恵を最大限受けるために適切な準備を進めておきましょう。