林業での開業についてや支援先などをご紹介

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日本は国土面積の70%が森林です。日本に住むうえで、山や森林との共存は大きなテーマであり、近くになくとも、私たちはその恩恵を受けて暮らしているのです。そういう意味でも林業は、その恩恵の部分と深く関係している仕事といえます。

そこで今回は、林業での開業についてや支援先などをご紹介していきます。

そもそも林業とは?

林業とは、山や森林に関わる仕事であり、その仕事の内容は多岐にわたります。林業と聞くと、一般的には大木をチェーンソーで切っているイメージを抱くことが多いかもしれません。しかし、林業では木を切るだけでなく、植林をし、木が成長するまでの長い間山や森林の整備や保全をすることも大切な仕事です。

林業で起業するにあたっては、林業の持つ意味や実際の仕事の内容などを理解することが必要です。簡単に始められる事業ではありませんが、地球や人にも貢献でき、大変意義のある仕事でしょう。

林業開業での資格について

林業を営むためには、資格取得などのいくつかの準備が必要です。ただし、必要な資格は特に難しいものではありません。

まずチェーンソー・刈払機・小型車両系建設機械運転業務(※1)の講習受講が必要になります。自宅敷地内での使用には必要ありませんが、それを業とする場合は取得必須となります。これらはいわゆる資格試験とは違って【特別教育】というくくりになっており、座学・実習含め規定の時間数を受講し、修了証が交付されます(※2)。

  • (※1)整地・運搬・積込み用及び掘削用ミニショベル等 
  • (※2)これらの講習は都会なら教習所、地方は森林組合などの団体で実施されています

チェーンソー・刈払機・小型車両系建設機械運転業務の講習受講は、働き先によっては、仕事を覚えながら資格を取得させてくれる場合もあります。

また普通自動車運転免許も必須です。最近は軽トラックのAT車もありますが、山の傾斜対応としてマニュアル免許の取得を求められることも多いです。

林業の現場で必要な主な資格

ここからは、林業の現場で必要な主な資格をご紹介します。

免許

林業架線作業主任者

林業架線作業(原動機の定格出力が7.5kWをこえるもの,支間の斜距離の合計が350m以上のもの,最大使用荷重が200kg以上のいずれかに該当する機械集材装置若しくは運材索道)を行う場合に選任しなければならない作業主任者が有すべき資格です。

技能講習

車両系建設機械運転

森林作業道の作設時に必要な資格です。車重3t未満は特別教育の対象となります。

はい作業主任者

「はい」とは,土場や倉庫等に積み重ねられた荷の集団をいい,高さが2m以上のはい付け又ははい崩しの作業を行う場合に選任しなければならない作業主任者が有すべき資格です。

小型移動式クレーン運転

吊り上げ荷重が1t以上5t未満の移動式クレーンを使用して業務を行う場合に必要となります。なお,1t未満のものは特別教育の対象,また5t以上の移動式クレーンの業務は免許の対象となります。

フォークリフト運転

土場等で,積み荷の最大荷重が1t以上のフォークリフトを使用して業務を行う場合に必要となります。なお,1t未満のフォークリフトを使用する場合は,特別教育の対象となります。

玉掛け

吊り具を用いて行う荷掛け,荷外しの業務をいい,林業においては集材作業で必要となります。この場合,吊り上げ荷重が1t以上のクレーン等の玉掛け業務は技能講習を修了している必要があります。なお,1t未満であれば特別教育の対象となります。

特別教育

機械集材装置運転

機械集材装置とは,集材機や架線等によって構成され,動力を用いて原木又は薪炭材を巻き上げ,空中を運搬するものをいい,これを運転する場合には特別教育を修了していなければなりません。

伐木等

チェーンソーを用いて行う立木の伐木,かかり木の処理,造材の業務を行う場合には特別教育を修了している必要があります。

開業する場合の手続き

個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。

法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。

林業で起業したい人向けの支援や融資について

林業で起業するノウハウは独学で身につけるのは難しく、様々な準備が必要です。また、林業をするためにほかの地域への移住を考えるなら、そのための資金などもかかります。必要な準備を整えるために使える支援や融資制度を知っておきましょう。

全国林業改良普及協会

全国林業改良普及協会は、林業の改良のために普及活動を行う協会です。実際の活動内容としては、林業の後継者を育成するためのインターンシップや相談窓口の設置などがあります。相談窓口は都道府県にあるため、まずは近隣の窓口で相談してみるのも良い方法のひとつです。

農林漁業信用基金

農林漁業信用基金は、林業や木材産業などを開始する新規創業者への信用保証業務を行う団体です。林業で起業するにあたり、資金調達のサポートを受けられます。

緑の雇用

緑の雇用は、全国森林組合連合会が実施する林野庁の補助事業です。林業や森林の担い手を育てるための情報発信を行い、それぞれの地域では説明・相談会を開催しています。オンライン相談もあり、林業に従事するための移住相談なども可能です。

林業就業支援事業

林業就業支援事業では、林業体験研修や林業の現場見学、林業に従事するために必要な講習などを行っています。オンラインで受けられる1日コースから実際に現場や仕事に触れられるコースまであるため、準備段階に合わせて受講できます。

林業経営育成資金

林業経営育成資金は、日本政策金融公庫農林水産事業の取り扱う融資制度です。林業を営む個人と法人を対象とした制度で、人工林・天然林改良林・造林のための土地取得費用に使えます。林業経営改善計画の認定を受ける必要があり、使い道には要件があるため、対象とならない場合もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、林業での開業についてや支援先などをご紹介しました。

林業は課題も多く、起業方法としては厳しい産業ジャンルですが、地球環境や人々の暮らしを守り、自然の中で働くことにやりがいを見出せる事業として魅力を感じる人もいるでしょう。

林業に本気で取り組もうと考える人は、林業の現状の課題も見据えながら、ビジネスアイデアや働き方を選ぶことが必要になってきます。

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