コロナ過の現状ですが、起業リスクを回避できるよう法令が整備されています。起業に向けて追い風が吹いているような状況だと考えられるのではないでしょうか。
そこで今回は、令和4年中の起業に関連する法令改正をご紹介していきます。
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目次
令和4年中の起業に関連する法令改正
令和4年中に施行(予定)となっている、主な、起業に関連する法改正の内容についてご紹介します。
電子帳簿保存法改正|電子領収書の保管方法の変更等
改正電子帳簿保存法が施行されています。電子帳簿保存法では、請求書・領収書・契約書などの帳簿関連書類を、以下の3つの方法により電子的に保存することを認めています。
・電子帳簿等保存:最初から電子的に作成した帳簿等を、そのまま電子保存する
・スキャナ保存:紙で受領・作成した書類を、スキャンして画像データとして保存する
・電子取引の電子保存:メールやインターネット上からのダウンロードを通じて交付・受領した書類を、そのまま電子保存する
上記のうち、「電子取引」によって交付・受領した書類は、従来であれば印刷して紙で保管することも認められていました。しかし改正電子帳簿保存法では、電子取引によって受領した書面の印刷保管は不可とされ、電子データとして保管することが義務付けられました。
ただし2021年12月に方針が転換され、2023年12月31日までは経過措置として、電子取引で受領した書類についても印刷保管が許容されます。企業は、経過措置の期間を踏まえつつ、早めに電子保存の体制・システムを整備する必要があるでしょう。
定款認証手数料が値下げ★起業に追い風となる法改正★
令和4年1月1日から従前、一律5万円だった定款認証手数料が資本金100万円以上300万円未満の場合、5万円→4万円に、資本金100万円未満の場合、5万円→3万円と実質値下げになりました。
個人情報保護法改正
改正個人情報保護法では、以下の5点に関連して、多岐にわたるルール変更が行われます。
・本人の権利保護が強化される
・事業者の責務が追加される
・企業の特定分野を対象とする団体の認定団体制度が新設される
・データの利活用が促進される
・外国の事業者に対する、報告徴収・立入検査などの罰則が追加される
雇用保険マルチジョブホルダー制度
雇用保険マルチジョブホルダー制度とは、複数の事業所で働く65歳以上の労働者が特定の要件を満たす場合に、申し出を行った日から特例的に雇用保険被保険者になることができる制度です。2022年1月1日から65歳以上の労働者に限定して試行実施され、5年を目処に効果検証が行われることになっています。
民法改正
2022年4月1日より、民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。成年年齢の改正は、1896年の民法制定以降、初めてのことです。公職選挙法の選挙権年齢が18歳と定められるなど、国政上の重要な事項の判断に関して、18~19歳を大人として扱う政策が進められてきたこと、世界的にも成年年齢を18歳とするのが主流であることから、今回の改正が行われました。
中小企業のパワハラ防止法
2022年4月1日より、中小企業に対してもパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が適用されます。各企業では努力義務として、職場のいやがらせやいじめを防止するパワーハラスメント対策を実施する必要があります。
育児・介護休業法改正
2021年6月に育児・介護休業法が改正され、2022年4月1日より段階的に施行されます。今回の改正では、男性の育児休業取得促進のための枠組みが新たに追加されました。
道路交通法改正
2022年4月と10月の道路交通法改正では、事業所の安全運転管理者による運転者のアルコールチェックが厳格化されます。
起業に失敗した場合の失業手当の受給期間が最大4年に延長される★起業に追い風となる法改正★
失業保険の受給資格のある会社勤めだった人が起業する場合、現行法上は1年である失業手当の受給期間を最大4年まで延長できることになります。
インターネット上で閲覧できる登記情報から代表者住所が非表示になる★起業に追い風となる法改正★
令和4年9月から施行予定ですが、インターネット上で法人の登記情報を閲覧できる「登記情報提供サービス」において代表者住所を原則非表示とすることとなりました。DVの被害者を守る観点から、申し出があれば法務局で閲覧できる書面の登記情報からも代表者住所を非表示にすることができるとされています。
短時間労働者の社会保険適用のルール改正
短時間労働者への社会保険加入の適用拡大がスタートする2022年10月に向けて、これまで対象外だった企業も短時間労働者の社会保険適用者の把握や届出をはじめとする対応が必要となりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、令和4年中の起業に関連する法令改正をご紹介しました。
法令の改正は、世の中の流れに則して頻繁に行われます。これらを逐一全てフォローしていくのはとても大変でしょう。しかし、企業にとって重要な改正も多くあります。自社で対応しておかなければならない法改正に関しては、早めに準備をして万全を期しておきましょう。