小売業界におけるCRM導入のメリットや代表的なツールをご紹介

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近年の新型コロナウイルスで、食品、日用雑貨などの生活必需品、そしてゲームなどのエンタメは売上を伸ばす結果になった一方、リモートワークの定着により、アパレルや紳士服などの小売り業界については売上が激減し、再編を迫られる企業も存在しています。そんな中、小売業界で注目されているのが、CRM(顧客関係管理)です。

そこで今回は、小売業界におけるCRM(顧客関係管理)導入のメリットや代表的なツールをご紹介していきます。

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そもそもCRM(顧客関係管理)とは?

CRMとは、英語でCustomer Relationship Managementの頭文字を取ったもので、「顧客関係管理」つまり、顧客との関係をどの様に維持・改善していくのかを管理するマネジメント手法のことをさします。

従来の経営を成功させる要素して挙げられるのは、「ヒト」「モノ」「カネ」の3大要素でした。優れた人材や高品質の製品やサービス、そして多くの資金がビジネスを成功させるために最も重要な要素と考えられていました。“良いものをより安く”というメッセージが小売業界では多く使われています。しかし現在、かつてのビジネススタイルだけでは成功するのが難しくなってきています。

現在では、小売業の多くがCRMシステムが導入されています。CRMによって顧客データベースの管理が容易になり、より細かく顧客ニーズに対応できる企業が増えたことで、業界全体の収益が増えている状況です。

CRM(顧客関係管理)が小売業界で注目されるようになった背景とは?

近年、小売業界では多くの企業がCRMの必要性を感じています。小売業界においてCRMが注目された背景を知っておきましょう。

顧客ニーズの多様化

CRMが必要とされる理由としては、まず顧客ニーズの多様化が挙げられます。これは小売業に限った話ではありませんが、スマートフォンを中心に多くの媒体で気軽に情報を集められるようになった昨今では、自分のニーズや価値観に合った商品かどうか、厳しい目でチェックする消費者が増えています。

そこで、従来のマス広告に頼り切ったマーケティングでは、消費者の細かいニーズに訴求するのが難しくなっている状況です。大枠では訴求ポイントを押さえていたとしても、一人ひとりの細かいニーズに合ったアプローチをする競合が現れると、競争に勝ちづらくなってしまったのです。そこで、顧客の個別のニーズに応えるべく高度な顧客管理機能を持ったシステムが求められるようになりました。

BtoCにおける顧客の購入プロセスの変化

BtoBの業界では、顧客一人ひとりに応じたアプローチが一般的ですが、BtoCの業界は顧客数が多いため、どうしても個別のニーズに応じるのは難しい面がありました。しかし、そのような状況においても顧客の購入プロセスの変化を見抜き、うまく対応した企業が売上を伸ばしています。

顧客のセグメント化による分類とアプローチに加えて、高度な顧客分析機能を有するCRMが台頭してきたことで、積極的にCRMを使ったOne to Oneマーケティングに注力する企業が増えてきました。さらに近年は、本格的なBtoC向けのCRMも登場し始めているので、今後さらに小売業界でCRMの影響力は増していくでしょう。

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CRM(顧客関係管理)システムの役割

現在では、ほとんどの小売業界がCRMシステムを導入しています。顧客データベースの管理が容易になったことで、顧客のニーズに対応でき、満足度を高めることで、収益の増大が期待できます。では、CRMシステムが果たす役割とはどのようなものなのでしょうか?

ポイントシステム

小売業では、ポイントカードによる顧客情報の管理が主流です。読者の皆さんも、少なくても1枚はどこかのポイントカードを持っているでしょう。スーパーや電化製品店などが代表的です。典型的なポイントカードシステムは、顧客にポイントカードを発行し、購買ポイントによって値引きをするというものです。企業側からすると、ポイントカードを発行することで顧客の購入情報を得ることができます。購買情報を分析してさらなるマーケティングをしかけることで、値引き以上の利点があると言われています。

ただし、他社も同じようにポイントカードによる値引きをしているので、顧客もただ値引きになる店舗で購入する傾向があり、そうなればなかなか利益は上がりません。必ずしもポイントシステムが100パーセントうまく売り上げアップにつながっているわけではないということです。

顧客抽出

企業の売り上げをアップさせるには、必要な人に必要な物を提供するのが重要です。顧客抽出とは、膨大な顧客データベースから対象となる人を抽出する機能のことです。CRMシステムを利用することで、顧客の購入頻度や購入金額、来店日などがわかります。

購買データ分析

購買データ分析では、顧客が何を購入したのか把握できます。どのような製品やサービスが求められているのかわかるため、今後のマーケティング戦略に役立ちます。

ただし、購買データ分析は「購入した」という結果しかわかりません。そのため、どのような目的で購入したかまではわかりません。もしかしたら、全く同じ商品を買った人でも、その商品が必要だったからか誰かに頼まれたから代理で購入したかなど、購入した理由や目的まではわからないのです。原因がわからないので、さらに綿密なマーケティング戦略を立てにくいケースもあります。

小売業界におけるCRM導入のメリット

では、小売業界におけるCRM導入のメリットとは、具体的にどのようなものでしょうか。主なメリットを説明します。

顧客情報を管理・分析できる

企業の売り上げをアップさせるには、必要な方に必要な物を提供するのが重要です。CRMシステムを利用することで、顧客の購入頻度や購入金額、来店日などがわかります。購買データ分析では、どのような製品やサービスが求められているのかわかるため、今後のマーケティング戦略に役立てられます。
 

リソースを最適化できる

企業にしても、店舗運営者にとっても、人・モノ・金・情報など限られたリソースを駆使して最大限の効果を出すのがベストです。費用対効果を考えるうえで重要な法則にパレートの法則があります。

これは経済活動における構成比をみた場合、全体の売り上げの80%は20%の顧客によってもたらされるというものです。この20%の顧客にリソースを投資するために、どの顧客が該当するかを解析するのにCRMが必要となります。つまり、CRMによって費用対効果の大きい要素を抽出し、そこに経営リソースを投入するわけです。

顧客との接点を増やせる

情報化と価値観の多様化にともない、複数のチャネルを使い分ける消費者が増えてきました。近年は電話やメールはもちろん、チャットやSNS上でメッセージのやり取りをしている人がほとんどのため、企業もそれに対応して複数のマーケティングチャネルをうまく使い分けなければいけません。

複数のチャネルを用意して顧客が使いやすい環境を整えるには、CRMの機能が有効です。複数のマーケティングチャネルに対応できるCRMが多いため、企業が独自にシステムを開発したり複数のシステムを組み合わせたりするよりも、手間と運用コストを抑えてマルチチャネルでのマーケティングが可能になるでしょう。

適切なタイミングで顧客アプローチが可能になる

CRMの導入によって、顧客一人ひとりの詳細な情報を蓄積・利用できるようになります。その結果、顧客がどのタイミングでどのような行動をしたか、何を購入したかなどを確認できるので、企業側も適切なタイミングでのアプローチが可能になります。

BtoCの場合はBtoBに比べて圧倒的に顧客数が多いので、個別のアプローチは難しい面もあるでしょう。しかし、特定の価値観や行動パターンによって顧客をセグメント化してアプローチを分けることで、マーケティングの効果が上がるはずです。上記のパレートの法則における20%の上客を見つけるきっかけにもなります。

新製品のアイデアが得られる

顧客のデータを分析し追及していくと、顧客ニーズに応えた新商品の開発に役立てられます。そして、顧客情報がシステムによって整理されると、今まで煩雑に管理されていたものが目に見えるようになり、顧客のニーズや行動が見えやすくなります。

顧客のニーズやウォンツ(感情的に求めているもの)が明らかになれば、それを満たす商品やサービスを開発することで、直感や経験を根拠に商品開発をするよりも、結果的に利益につながるでしょう。

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小売業界におすすめのCRM(顧客関係管理)5選

ここからは、小売業界におすすめのCRMをご紹介します。いずれも小売業界をはじめとして、多くの業界・業種で導入されている評価の高いシステムになります。

① Salesforce Sales Cloud (株式会社セールスフォース・ジャパン)

Salesforce(セールスフォース)Sales Cloudは、世界中で利用されている営業支援・SFA アプリケーションです。あらゆる情報を一元的に管理でき、商談からクロージング、リピート購入の促しまで、幅広く対応できます。営業活動をまとめて管理できるので、一人ひとりのスタッフの行動が最適化され、商談成約率の増加や生産性の向上、売上精度の向上が見込めます。

② Zoho CRM (ゾーホージャパン株式会社)

データ入力が簡単ですぐに使いこなせるツールとして人気なクラウド型顧客管理・営業支援ツールZoho CRM(ゾーホー・シーアールエム)は、低コストながら豊富な機能を揃えています。入力したデータを活用することで、さまざまな業務を自動化するワークフロー機能を利用すれば、長く活躍してくれます。

③ KARTE(株式会社プレイド)

株式会社プレイドの開発した国産ソフトウエアです。他のCRMソフトウエアと異なり、Webサイトやアプリの訪問者の行動や感情をリアルタイムに解析し、一人ひとりに合わせた体験の提供を可能にするCXプラットフォームです。

④ HubSpot CRM(HubSpot Japan株式会社)

HubSpot CRMは、全世界120ヵ国で利用されている顧客管理ソフトです。使いやすく機能も豊富であることから多くの企業に導入されており、その数はなんと10万社以上。業界や企業規模を問わず利用されているため、顧客管理ソフトをお探しの小売業にもおすすめです。加えて、無料ではじめられるのもうれしいポイント。取引のトラッキングやパイプラインの管理、スケジュール管理やメールトラッキングなど、豊富な機能を無料で利用できます。より高度な機能をお求めの場合は有料プランもおすすめです。

⑤ GRMarketing(株式会社イーグリッド)

GRMarketingはブラウザ上で顧客管理・営業支援ができるCRMです。シンプルで使いやすい操作性が評判で、スマートフォンやタブレット端末からも利用できます。受注の見込みや売上データを一覧で確認できるので、営業先のスタッフが確認するのにも便利です。別の部門・部署との情報共有も可能なので、営業部門のみならず、組織全体の業務効率化と生産性の向上を実現できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、小売業界におけるCRM(顧客関係管理)導入のメリットや代表的なツールをご紹介しました。

これからもさらに利用されるシステムなので、導入前にしっかりとCRMの特徴を押さえておくことが成功の秘訣です。CRMシステムを上手く活用して理想のビジネスを手に入れましょう。

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