飲食店がサブスクリプションを導入するメリット・デメリットについて解説

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定額制で店舗独自のサービスを提供できるサブスクリプションサービスは、飲食店でも導入が進んでいます。音楽のストリーミングやオンラインショップのイメージが強いサブスクリプションは、飲食店にどのようなメリットを与えてくれるのでしょうか?

今回は、飲食店がサブスクリプションを導入するメリット・デメリットについて解説していきます。

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そもそもサブスクリプションとは?

サブスクリプションは、月額制や年間制などで、一定のサービスを定期的に提供するサービスのことを指します。会員無制限での音楽配信や、広告での動画配信などWebサービスで広まったとされていますが、近年は飲食店でも活用が進んでいます。

最近耳にする機会が多いサブスクという言葉はこのサブスクリプションを略したものです。

飲食業界におけるサブスクリプションの種類

飲食業界におけるサブスクリプションでは、主に割引・会員制・使い放題の3つが多いです。

割引は、定額に応じて割引やトッピングなどを受けられます。例えば、ラーメン屋です。月額〇〇円でトッピング無料などがあります。会員制は、会員限定や招待限定などを受けられます。例えば、バーです。月額〇〇円で招待した人もカクテル1杯無料などです。使い放題は、期間内の定額に応じて食べ・飲み放題などを受けられます。例えば、居酒屋です。月額○○円で毎日生ビール1杯無料などです。

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飲食店がサブスクリプションを導入するメリット

飲食店にサブスクリプションを導入することによって、さまざななメリットを期待することができます。具体的にメリットについて説明します。

安定した収入源を確保しやすくなる

飲食店でサブスクリプション導入すると、安定した収入を確保しやすくなるというメリットがあります。従来の飲食店は、商品購入と同時に支払いが行われますが、ユーザーに商品を購入してもらわないと売上が得られません。その点、サブスクリプションは定額で料金を徴収するため、集客の有無に関係なく安定した収入源を確保できることが期待できます。

新規顧客の獲得につながる

サブスクを導入する飲食店が増えてきているとは言え、まだまだその数は多くありません。そのため、「サブスク導入している」というだけで話題になる可能性があり、それによって新規顧客の獲得につながる可能性があります。マスメディアやWEBサイトで取り上げられたり、SNSで話題になるなどして、新規のお客さんが急増するかもしれません。新規顧客の獲得は決して簡単ではなく、通常であれば、広告を出したりSNSで積極的に情報を発信するなど時間と手間をかけておこなうものです。大変な新規顧客の獲得につながる可能性を秘めている点も、サブスクを実施する上での大きなメリットになります。

固定客を確保しやすくなる

サブスクリプションの登録者は、支払った料金の元を取ろうと、積極的に店舗に通う場合が多く、固定客の確保に繋がります。従来の飲食店の場合、固定客確保のためにメニューの豊富さや接客の質など、多方面からのアプローチをする必要がありました。しかし、サブスクリプションの場合、固定客を逃しにくい仕組みづくりを行えるため、効率的な固定客の獲得が期待できます。

顧客データを取得しやすい

サブスクリプションは継続的にユーザーにサービスを提供するため、購買行動や流行りなどの顧客データを蓄積することができます。サブスクリプションユーザーでない方からデータを蓄積することも可能ですが、継続的なユーザーのほうがより綿密な情報を得られるでしょう。サブスクリプションから蓄積した顧客データをもとに販売戦略を見直すことで、より効率的に店舗のマーケティングを行えるはずです。

継続的なユーザーによる口コミが期待できる

サブスクリプションを利用するユーザーは、定期的かつ継続的に加入飲食店を利用する場合が多く、店舗への愛着が高い層といえます。愛着があり気に入っているからこそサブスクリプションを利用しており、そのようなユーザーは積極的に周囲に進めてくれる傾向にあるでしょう。よって、サブスクリプションを導入し、継続的なユーザーを多く抱えることで、そこからの新規ユーザー獲得も期待できます。

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飲食店にサブスクを導入するデメリット

飲食店にサブスクリプションサービスを導入することは多くのメリットが期待できる反面、注意しておくべきデメリットもあります。あらかじめ対応策を考えておく必要のある課題を紹介します。

システム導入の費用や時間がかかる

サブスクサービスの導入は、オーダーシステムや決済サービスを実装しなければならないため、初期費用が発生する可能性があります。近年は月額課金制のものや、注文があった際にだけ手数料が課金されるサービスも増えてきているため、簡単に実装はしやすくなっています。しかし、手数料の発生やサブスクサービスを導入した分だけ現場のオペレーションの工数が増えることを考えると、ある程度の負担の増大は受け入れる必要があります。

ある程度の会員数を集めなければ採算が合わない

サブスクサービスを軌道に乗せるためには、十分な数の会員数を確保する必要があります。サブスクサービス利用者のためにメニューを用意したり、オーダーを取ったりする手間がかかるだけでなく、毎日サービスを利用したい人のために店舗をフル稼働させなければならない、という事情も出てきます。人件費などがある程度かさんでしまう可能性を踏まえた上で、サブスクサービスを導入しましょう。

適切な在庫管理が必要になる

人件費だけでなく、サブスクユーザー向けに在庫を確保する必要もあるため、従来とは異なる見立てを立てながら在庫管理が必要になります。サブスク会員であるにも関わらず、売り切れなどでサービスを受けられなかったとなると、サービスの解約が頻発したり、店舗そのものの信用が低下したりしてしまいます。かといって、過剰に在庫を抱えても余計な支出や廃棄につながってしまいやすいため、戦略を練り直す必要があるでしょう。

業態別のサブスクリプションサービスの事例

ここからは、業態別のサブスクリプションサービスの事例をご紹介します。

ラーメン店

月額9,000円程度で指定されたラーメンを1日1杯無料で食べることができるサブスクリプションサービスを展開しているラーメン店があります。1杯の平均が800円なので、1か月間毎日食べ続けると25,000円弱かかるのでかなりお得感があります。また、他のクーポンとも併用可能にしているので、大盛にすることやトッピングを追加することもでき、利用者にとってはうれしいサービスです。

別の事例で、月額3,000円で1日何度でもラーメンが1杯無料で食べられるサブスクリプションサービスを展開する店舗があります。一緒に訪問した方も1杯無料で食べることができるので人気を博しました。このサービスは新規顧客を獲得する戦略も含まれており、1度に既存顧客、新規顧客の双方へのアプローチが可能となります。

カフェ

カフェのサブスクリプションサービスの事例として、定額制カフェがあります。月額料金を支払えば、その月のさまざまなサービスを受けられるものとなっています。あるカフェでは月額3,000円と6,000円の2種類の定額制プランを準備しています。どちらのプランも1回の来店で1杯無料というもので3,000円のプランでは300円のコーヒーを、6,000円のプランではすべてのコーヒーメニューから選ぶことができます。1日に何回来店してもその都度無料となり、系列店でも利用可能です。利用者は通えば通うほどお得にコーヒーを飲むことができるので何度でも足を運びたくなりますし、お店側はサイドメニューの注文を期待することもできます。

焼き肉店

焼き肉店でのサブスクリプションサービスの事例として、月額10,000円程度で1日1回食べ放題を利用することができるサービスがありました。1回4,000円弱のコースなので月に3回通えばペイできる計算です。肉類のメニューはもちろん、つまみやご飯も注文することができる非常にお得なサブスクだったのでサービス開始直後にはSNSなどで話題になりました。あまりにも人気が出て、ホームページの会員登録ページは一時アクセスできない状態が続くなど、世間への影響が大きいサービスとなりました。

アイスクリーム店

月額3,000円程度で月に1回こだわりのクラフトアイスクリームを自宅に届けるプランを展開しているアイスクリーム店があります。自宅で手軽にご当地アイスクリームを食べることができること、送料は店側の負担であることなどが話題となり、SNSやネットニュースで取り上げられました。また、季節に合わせたアイスクリームが届くので、その都度利用者のSNSへの投稿が目立ち、新規顧客獲得のための宣伝効果を得ることができます。

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飲食向けサブスクを活用するポイント

飲食店がサブスクリプションサービスを成功させるためには、その活用方法にもこだわる必要があります。最後に、サブスクリプションを活用する際のポイントをお伝えします。

高い集客力を生かしたラインナップを提供しているものを選ぶ

サブスクリプションが効果を発揮するのは、その店の主力となるような商品がリーズナブルに提供されるサービスを実現したときです。コーヒーショップでコーヒーが無料になるなど、その店の利用を検討している消費者の心に響くラインナップをお得に提供することで、サブスクリプションの付加価値を高めることができます。サブスクだけでは赤字となっても、その周辺商品の購入を促すことで黒字化できている事例はすでに存在します。定額でお得に楽しんでもらえるラインナップの強化に努めましょう。

店舗の強みに合わせたサービスを選ぶ

サブスクリプションで提供するサービスは、食べ飲み放題のみならず、割引やトッピング無料など、さまざまなサービスに応用できます。一つのサービス形態にこだわらず、割引や食べ飲み放題をうまく併用することで、店舗の強みが最大限引き出せる仕組みを整えることが大切です。サブスクをきっかけに店の魅力を理解してもらい、固定客を定着させられるという可能性にも意識を向けると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、飲食店がサブスクリプションを導入するメリット・デメリットについて解説しました。

さまざまなサービスでサブスクシステムが取り入れられるようになってきている影響もあり、飲食業界でもサブスクを取り入れる店舗はこの先どんどん増えていくでしょう。また、利用するユーザーも増えていくことが予想されます。

サブスクリプションビジネスを導入する際には、顧客のニーズの把握することが大切です。あなたのお店に合った方法でサブスクリプションを導入するか検討してみましょう。

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