日本政策金融公庫の返済が不能になった場合の3つの対応方法について解説

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日本政策金融公庫は、事業の創出や維持などのサポートを目的としており、一般の銀行や貸金業者のように利益を得ることは二の次となります。そのため、融資の審査基準が比較的緩く、金利も安価に設定されているため、多くの起業化にとって利用しやすいでしょう。しかし、日本政策金融公庫が政府系の金融機関であっても、借入金は必ず返済する必要があり、基本的に返済の滞納があってはなりません。

そこで今回は、日本政策金融公庫の返済が不能になった場合の3つの対応方法について解説していきます。

そもそも日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。

全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。

一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業になります。

しかし、いくら政府系金融機関とはいっても融資になりますので、当然借りたお金は返済は必須となります。

日本政策金融公庫からの借金の返済を滞納するとどうなってしまうのか?

日本政策金融公庫からの借金の返済を滞納してしまった場合、債権回収のための以下でご紹介するプロセスが進行することになります。無視して対応しないでいると、だんだん厳しい措置へと移行していきます。

どのような流れで債権回収が行われるのかについて説明していきます。

支払いの督促が行われる

借金を返済期日に返済しない場合、日本政策金融公庫から債務者に対して督促が行われることになります。督促の手段としては、電話や郵便があります。数日程度の軽微な滞納であれば、督促を受けてからすぐに滞納分支払うことができれば、その後大きな問題にはなりません。しかし、資金がショートしてしまい、督促を受けても借金の返済が行えないという場合もあるでしょう。

そのような場合に、日本政策金融公庫からの督促を無視して放置していると、督促の郵便が再三送付されてきます。督促文の文面はだんだん厳しいものになり、債務者としては返済への心理的なプレッシャーが大きくなってしまいます。

一括返済を求められる

督促に応じず返済を滞納し続けた場合、約3か月後に一括払いの請求書が届きます。この時は、返済できなかった分だけでなく、元金と利息に遅延損害金を上乗せした金額を一括返済することになります。

特に借入の残高が多い状態での一括返済は厳しいので、督促は放置せずに早めに日本政策金融公庫に連絡を入れて返済に関する相談をしておくとよいでしょう。

保証人が代位弁済する

代位弁済とは、日本政策金融公庫からの借入金における保証人が借り入れた人の代わりに返済することになります。保証人は、一般的に保証協会や保証会社がなります。

代位弁済後は、借り入れた人が日本政策金融公庫に返済する必要はなくなりますが、保証人に返済しなければなりません。

保証人に返済をする

代位弁済された場合は、代位弁済した事実を通知する「代位弁済履行通知書」が届きます。この書類が届く期間はさまざまですが、一般的には滞納を初めてから数ヶ月後に届きます。代位弁済後は、保証人から借入金の返済を取り立てられることになります。

強制執行

債権者の言い分を全面的に認める旨の確定判決が出されると、債権者はその確定判決を債務名義として、強制執行の手続きを取ることになります。強制執行手続きにおいては、債務者の財産の差し押さえが行われます。

例えば、預金口座内の現金、給与債権の一部、マイホームを所有している場合の土地・建物を差し押さえられてしまったりするなど、債務者の生活に深刻な影響が生じてしまいます。

返済不能になった場合の3つの対応方法

日本政策金融公庫からの借金は返済せずに済む方法は存在しません。返済不能になった際は、以下のように対処しましょう。

①まずは日本政策金融公庫に相談する

返済不能になってからではなく、返済不能になる可能性が生じた際にできるだけ早く日本政策金融公庫に相談しましょう。実際に滞納し始める前であれば、返済期間の猶予や分割払いなどの相談ができる場合が多いです。

すでに滞納している場合は、相談に応じてもらえない可能性が高いですが、ダメ元で可能な限り早く相談してみてください。

②ビジネスローンやファクタリングをする

返済が難しくなった場合には、資金繰りをして返済に充てることを考えます。例えば、売り上げは上がっているけれど売掛金の入金予定が先で一時的に返済が厳しいというような場合には、ビジネスローンやファクタリング等で資金繰りをすることで、苦境を乗り切れる可能性があります。

ただし、これらは借入額を増やすことに他なりませんので、経営状況等をみて慎重に検討するようにしましょう。

③債務整理をする

日本政策金融公庫を含め、全ての債務の返済が難しい場合には、破産や民事再生といった債務整理を検討することになります。民事再生は会社を残すことができますが、社会的な信用やブランドイメージの低下は免れられません。

また、民事再生にまで追い込まれた企業は、いつ債務不履行をするかわからない状態のため、取引を敬遠される可能性もあります。また、担保として提供している財産を換価される点にも注意が必要です。もし、事業の根幹に関わる財産を担保にしていた場合は、事業継続ができなくなる恐れがあります。債務整理については、信頼できる弁護士に相談しましょう。

まとめ

返済ができなくなったからといって放置するのは得策ではありません。

日本政策金融公庫からの融資の借入金を返済できなくなった場合は、支払期間の延長や利息カットなどをできるだけ早く日本政策金融公庫の担当者に相談しましょう。

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