会社員として雇われる働き方でなく、自ら事業を立ち上げて活動する存在は起業家と呼ばれます。起業家になるためには、基本的なマインドを身につけて行動できる決断力が重要になり、さまざまな障壁も乗り越えることも大事になってきます。
そこで今回は、起業家が直面する可能性のある障壁と対策について解説していきます。
目次
そもそも起業家とは?
起業家とは、0から事業を起こす人のことを指します。また事業を法人として起こした時点で起業家となります。英語では「アントレプレナー」と呼ばれます。
ビジネスアイデアやビジネスモデルが既存のものであっても、自身で新しく事業を始める場合「起業家」に該当するのがポイントになります。
起業家が直面する可能性のある障壁と対策
起業家が直面する可能性のあるいくつかの障壁と、それに対処するための具体的な対策をいくつか紹介します。
資金調達の障壁
対策
ビジネスプランの作成と事業計画書の作成に時間をかけ、日本政策金融公庫などの融資や信頼性の高い資金提供者を見つけることが大切になります。また、自己資金の投入や友人や家族、その他クラウドファンディングなども活用することも考慮しましょう。
尚、起業時によく利用される日本政策金融公庫の融資制度について、後述で詳しくご紹介します。
競争と差別化の障壁
対策
市場調査を行い、競合他社の活動や顧客ニーズを分析し、自社の独自の価値提案を見つけましょう。製品やサービスの特徴を強化し、顧客にとって他社より優れた選択肢となるような差別化戦略を立てましょう。
人材の確保と育成の障壁
対策
適切な人材採用プロセスを確立し、優れた人材を獲得するために時間と労力を投資しましょう。また、社内のトレーニングや成長機会を提供し、従業員のスキルやモチベーションを向上させることも重要です。
法的・規制上の障壁
対策
法務アドバイザーと協力し、ビジネス活動に関連する法的なリスクや義務を理解しましょう。適切な法的手続きを遵守し、必要な許認可を取得することで、法的問題を最小限に抑えることができます。
マーケティングと顧客獲得の障壁
対策
効果的なマーケティング戦略を策定し、顧客に自社の存在や価値を知ってもらうためのプロモーション活動を行いましょう。オンライン広告やソーシャルメディアを活用することで、効果的かつ効率的にターゲット顧客を獲得できます。
起業時の障壁:開業資金の融資はどこで受けるのがいいのか?
開業資金の調達には、起業や開業する方に向けた創業融資や制度融資を利用するのがおすすめです。創業融資は、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関で行っています。制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して提供しているものです。
どちらの融資を受けるにしても、事業計画書を作成して、融資元に相談し、融資の審査をクリアする必要があります。起業・開業時は売上実績がなく、信用を得にくいため、大手銀行などから融資を受けるのが難しいことは少なくありません。そのため、起業・開業時に合う融資元を選ぶことが大切です。
まずは、起業・開業時に受けやすい2つの融資元について見ていきましょう。
日本政策金融公庫による融資制度
日本政策金融公庫とは、国が100%出資している政府系金融機関です。国の政策として、地域の起業・開業率を引き上げることで、雇用機会を創出し、国内総生産(GDP)の引き上げを目指している背景があります。そのため、民間の金融機関から融資を受けにくい中小企業や小規模事業者、これから起業・開業する方に向けた、さまざまな融資制度があることが特徴です。日本政策金融公庫では、経営課題に応じたコンサルティングや、全国152支店のネットワークを活かした商談会なども実施しています。
自治体・金融機関・信用保証協会による制度融資
制度融資とは、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して行う融資のことです。制度融資では、信用保証協会が創業間もない会社の債務保証をすることで、金融機関からの融資を受けやすくする仕組みになっています。制度融資を利用するには信用保証協会の保証が必要で、信用保証協会を利用すると一般的に金利の他に保証料がかかります。
信用保証協会とは、全国47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達のために設立された公的機関のことです。融資を希望する場合は、お近くの信用保証協会に直接問い合わせるか、指定金融機関を経由して申し込みます。
起業・開業者におススメの日本政策金融公庫の融資制度
ここからは、起業・開業者におススメの日本政策金融公庫の融資制度を3つご紹介します。
新規開業資金
新たに事業を始めようとしている方や、事業を始めて7年以内の方を対象にしている融資制度です。融資限度額は7,200万円で、そのうち4,800万円を運転資金に、残りを設備資金に充てることができます。制度を受けられるのは、開業・起業したい事業と同じ業種の企業に6年以上勤めた人や、技術やサービスに創意工夫を加えた事業を提案できる人、雇用の創出を伴う事業を行う人などの条件があります。原則として保証人や担保を必要としますが、自己資金要件は設定されていないので、自己資金が少なくても融資を受けられる可能性があります。要件を満たし、審査を通過すれば高額融資が実現しやすく、金利も安いため、多くの開業希望者が利用しています。返済期間は運転資金が7年以内、設備資金が20年以内になります。
女性、若者/シニア起業家支援資金
「新規開業資金」とほぼ内容は一緒ですが、あなたが女性、もしくは30歳未満の若者か、55歳以上のシニア起業家であれば利用すべき制度はこちらになります。融資限度額も同じく7,200万円で、返済期間も「新規開業資金」と同一です。この制度を利用したい方で、東日本大震災の影響で離職・創業する方や、被災地で創業する方は他の特例を受けられる可能性もあります。
新創業融資制度
「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、原則として保証人や担保を必要としますが、無担保・無保証人で最大3,000万円までの融資を可能にしているのが「新創業融資制度」です。初めての起業・開業者にとって、リスクの少ない融資制度で、多くの融資希望者が集っている人気の制度です。
まとめ
今回は、一般的な起業家が直面する障壁とその対策について説明しました。
起業家自身で解決するのも必要ですが、できれば周りからの支援や教授を受けながら解決していくのが得策です。また特に資金調達は起業家にとって最初の障壁になるでしょう。上記でご紹介した日本政策金融公庫や自治体・金融機関・信用保証協会による制度融資を利用すると良いでしょう。