起業のための資金を用意しておくことは大事になります。貯金が少額でも資金調達すれば大丈夫と考えている方もいらっしゃるかと思いますが、そもそも自己資金が少なければ資金調達ができないケースもあります。
そこで今回は、お金を貯めるための具体的な方法やアプローチ方法について解説していきます。また起業時に利用できる資金調達方法もご紹介しますので、これから起業を検討している方は参考にしてみてください。
目次
起業する為にはお金を貯めておくことが重要!
起業する業態にもよりますが、起業時には多額の費用がかかります。その為、起業時に利用できる資金調達方法を知っておくことも重要ですが、最も重要なのはお金を貯めておくことです。
そしてお金を貯める方法は、意外とシンプルになります。それは「支出を減らすこと」と「収入を増やすこと」です。以下で「収入」と「支出」について説明します。
収入を増やす
支出を見直した後に考えるのが、収入を増やすことです。収入は簡単に増やせるものではないように思えますが、収入を増やす方法は意外と多くあります。支出を減らすことには限界があるため、収入を増やすことも考えていきましょう。
支出を減らす
お金を貯めたいと考えた際、まず支出を見直すことが大切です。収入を増やすよりも手軽に実行できます。普段の支出を改めて算出してみましょう。想像していたよりも、多くお金を使っていることに気がつくかもしれません。支出が多いと、いつまでたってもお金は貯まらないでしょう。
「お金を分ける」という発想も重要!
他方、お金が貯まる人の考え方は「支出とは、収入から貯金(貯蓄)を差し引いた残り」、つまり「支出=収入ー貯金(貯蓄)」というものです。これは、収入の中から、あらかじめ貯金(貯蓄)する分を分けておき、残った金額の範囲内でお金を使うというイメージになります。
お金を貯めるためには、このようにあらかじめ貯金(貯蓄)する分を分けておく、すなわち「お金を分ける」という発想が重要なポイントです。
以下でお金を分ける3つの方法をご紹介します。
①貯金(貯蓄)する分を引出して別の口座に入金する
給与など収入が口座に振り込まれたら、あらかじめ決めておいた貯金(貯蓄)する分だけをすぐに引出して、給与などの振込口座とは別の口座に入金する、という方法が考えられます。お金を分ける方法としては、非常にシンプルでわかりやすい方法といえます。
しかし、ATM等で現金を引出し、それを入金するという手間がかかりますし、それを避けるため振込を利用すると手数料がかかる場合がある点は難点といえそうです。さらに、別の口座に入金しても結局すぐに引出して使ってしまえば、分けた意味がなくなってしまいます。
②定期預金を活用する
別の口座がなくても、またわざわざ現金を引出したり入金したりしなくても、お金を分けておく方法、それが「定期預金」の活用です。預金には、給与振込や公共料金等の引落としといった決済機能を持ち、多くの人が利用している「普通預金」のほかに「定期預金」という種類があります。普通預金があれば比較的簡単な手続きで同じ銀行の定期預金に預入れることができます。
定期預金とは、一定期間引出しをしない代わりに普通預金よりも高い金利が付くタイプの預金を言います。逆にあらかじめ決められた時期(満期)よりも前に引出す(解約する)と普通預金以下の金利しか受け取れません。
近年では低金利が続き、普通預金と定期預金の金利の差があまりなくなったため、金利の面では定期預金を利用するメリットは限定的です。しかし、使わないと決めたお金を分けておく方法としては定期預金の活用もおすすめです。定期預金は満期前に解約することも可能ですが、解約の手続きが必要で普通預金ほど簡単には引出せないことも、お金を貯めるという目的には好都合といえます。
③積立を活用する
普通預金の口座のある銀行で定期預金に預入れるのは比較的簡単な手続きで済むとはいえ、給与等の収入があるたびに毎回手続きをするのはやはり手間がかかり、つい忘れてしまうこともありそうです。そこで活用したいのが、毎月同じ日にあらかじめ指定した金額が口座から引き落とされて自動的に積立てていくタイプの金融商品です。定期預金をはじめ、投資信託、株式など様々な金融商品が積立てに対応しています。
積立型の金融商品を利用すれば、お金を分けることができ、しかもそれを毎月自動的に行ってくれるので、手間もかからず大変便利です。総じてみると、お金を分けることによりしっかりお金を貯める方法としては、積立の活用がおすすめといえます。
お金を貯めるための具体的な方法やアプローチ方法
お金を貯めるための具体的な方法やアプローチはいくつか存在します。以下に主な方法を列挙します。
収支を管理する
・収入と支出をリストアップし、月々のバランスを確認します。
・家計簿やスマートフォンのアプリを使用することで、日常の出費を把握するのが便利です。
予算を立てる
・月々の固定費や変動費を確認し、節約できる部分を特定します。
・余剰金は自動的に貯蓄口座へ振り分けるよう設定すると良いでしょう。
無駄遣いを削減する
・不要なサブスクリプションや定期購入を見直し、キャンセルする。
・外食の回数を減らし、自炊を増やす。
・セールや割引を活用して購入する。
副業やサイドビジネスを検討する
・専門的なスキルや知識を活かして、追加の収入を得る方法を考えます。
投資を検討する
・余剰資金を株式、不動産、投資信託などに投資し、資産を増やす。
・投資はリスクが伴うので、十分な情報収集とリスク管理が必要です。
定期預金や積立を利用する
・金利が低い場合でも、定期的な積立てにより貯蓄習慣を形成することができます。
大きな出費の計画を立てる
・車の購入や旅行など、大きな出費が予想される場合は、事前に計画を立てて積み立てを行います。
ライフスタイルの見直し
・住居や車など、固定費を占める部分を見直すことで、長期的に節約できる場合があります。
ポイントやキャッシュバックを活用する
・クレジットカードのポイントやキャッシュバックを賢く活用して、実質的な節約を目指します。
教育やスキルアップ
・長期的な視点で、自身のスキルや知識を向上させることで、収入を増やす可能性が高まります。
これらの方法は一部に過ぎませんが、自身のライフスタイルや価値観に合わせて適切な方法を選び、継続的に実践することが大切です。
起業時の資金についての考え方とは?
上記で「起業する為にはお金を貯めておくことが重要」「個人がお金を貯める方法」などについてお知らせしましたが、以下では起業時の資金について説明していきます。
開業資金は業種によって異なってくる!?
起業に必要な資金は、業種や事業規模によって異なります。例えばカフェなど飲食店を始める場合、500万~600万円ほど費用がかかるといわれています。物件を借りる費用をはじめ、内装や外装費、備品購入費、仕入費用、人件費、広告費など、理想のお店をオープンするには様々な費用がかかるためです。飲食店でもそのまま活用できる居抜き物件を選べば、設備投資にかかる費用や内外装費を抑えられるので、100万~200万円程度で開業することもできます。
一方で、インターネットビジネスのようにパソコンがあれば自宅でも開業できる業種なら、少ない資金で始められます。
このように起業に必要な資金は事業によって異なるため、起業する際は、事業計画をしっかり立てた上で、どのくらい開業資金が必要なのか計算しておくことが大切になります。
生活費を把握しておくことも大切
起業時には出費が増えて売り上げが上がらないことが多く、起業当初は生活を切り詰めなければいけない状況になる可能性があります。
そこで起業前にまずは1カ月生活するのにいくらあればよいのかを知るために、生活費を計算することが大切です。家賃や食費、スマートフォンやインターネットの通信費や水道光熱費など生活に関する費用をはじめ、年金や健康保険料などもチェックしてください。
起業時に利用できる8つの資金調達方法
自己資金だけでは起業することができない場合には資金調達することも重要になります。
以下で起業時に利用できる資金調達方法をお知らせします。
①日本政策金融公庫(融資)
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
②信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
③親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
④ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
ベンチャーキャピタル(VC)とは、ハイリターンを狙った投資を行う投資会社のことです。未上場の中でも、特に成長性が高いと見込まれる企業に対して出資(投資)を行います。
ベンチャー企業の株式などを引き受けることによって投資をし、その企業が株式公開するなどしたのち株式などを売却し、キャピタルゲイン(株式等の当初の投資額と公開後の売却額との差額)を獲得すること目的としています。一般的には、技術が革新的であったり、アイデア、ノウハウが優れていなければベンチャーキャピタル(VC)からの投資を期待するのは難しいのが現状です。
投資する資金については、自己資金を活用して投資するパターンと、投資ファンド(投資事業組合)を設立して投資家から資金を集めて、ベンチャーキャピタルがその投資ファンドのマネージャーとして未上場企業に投資するパターンがあります。
⑤エンジェル投資家からの出資
エンジェル投資家とは、起業家のスタートアップを助ける個人投資家です。エンジェル投資家の多くは、現起業家、引退した起業家、M&A・IPOなどで会社を売却して資金を手に入れた実業家達になります。
通常、起業後まもない時期は、資金調達の面で苦労を強いられます。起業時は説明できる実績が 無いため、銀行や金融機関などの融資やベンチャーキャピタルの出資を受けにくいからです。こうした資金調達の問題を解決してくれるのが「エンジェル投資家」の役目です。
エンジェル投資家には、投資の見返りとして、株式などを提供します。エンジェル投資家は、友人などのケースは別ですが、何の利益も見込めないようなベンチャーに対しては基本的に投資はしません。 当然ですが、投資した企業が倒産すると資金回収は出来ませんので、通常の投資と比較すると極めて高いリスクを負うことになるわけです。
⑥補助金/助成金
国や自治体、公的機関が設けている補助金・助成金制度を活用する方法もあります。補助金や助成金は融資制度とは異なり、返済義務がない点が大きなメリットです。一方で、補助や助成を受けるためには一定の条件があり、実際に資金を確保することは簡単ではありません。申請しても承認が下りず、補助や助成を受けられないということも珍しくないため、他の資金調達方法も検討しながら同時進行で計画を進めることが現実的です。
また、申請の手続きは非常に煩雑なため、申請のために事務作業の時間をかなり長めに割く必要も出てきます。そして採択されても着金が半年から1年後になる為、基本的に事業運転資金の資金調達方法としては難しい面があります。
◆代表的な補助金
・経済産業省が提供している補助金
・地方自治体が独自で提供している補助金
・企業、政府系金融機関、財団等が独自に行っている補助金
◆代表的な助成金
・厚生労働省が提供している助成金
⑦クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた造語で、インターネット上で不特定多数の人から資金を集める仕組みのことです。個々の出資額がわずかな額でも、多くの人から出資を募ることでまとまった資金を得ることができます。利用するクラウドファンディング会社によって条件や手続きは異なりますが、 資金の使い道は、新規事業の立ち上げや、ものづくり、社会貢献、新規商品のPRなどさまざまな用途があります。
クラウドファンディングには大きく分けて、金銭以外のモノやサービスを特典として受けることができる「非投資型」と、金銭的なリターンを得る「投資型」の2つがあります。まず非投資型には「購入型」と「寄付型」があり、投資型(金融型とも呼ばれる)は「融資型(ソーシャルレンディング)」「ファンド投資」「株式投資型」に分類ができます。
⑧ビジネスコンテスト
ビジネスコンテストは、官公庁や企業などが主催するイベントで、参加者がビジネスプランを競い合うものです。優勝者は、賞金や資金援助の他、起業家とマッチングの支援が受けられる場合があります。また、知名度の向上にもつながるでしょう。
起業する為にはお金を貯める事や資金調達を知ることなどの準備が大切!!
会社法の改正により資本金1円から会社設立が可能になったことや行政の起業支援施策などにより、近年では、起業するハードルが低くなってきています。しかし、いざ起業してからは予想外の出費に悩まされることが多くなってきます。
事業を円滑に行うためにも自己資金を貯め、起業時に利用できる資金調達方法を起業前に知っておくことが大切になってきます。
(参考記事)会社設立に必要な情報まとめ