あらゆる産業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなか、社員たちにDXに対応できる新たなスキルを身につけてもらう必要があります。DX時代に注目されているのが「リスキリング」です。
そこで今回は、リスキリングが騒がれている理由やリスキリングを進める上でのメリットとデメリットについて解説していきます。
目次
リスキリングとは?リスキリングに関する具体的なポイントとは?
「リスキリング」は、既存の職種や業種が技術の進展や経済環境の変化などにより必要とされなくなった場合、新しいスキルや知識を身につけ、異なる職種や業種に適応することを指します。これは、労働市場の変動や業界の変化に対応して、個人の雇用の持続性やキャリアの拡充を図るための一つの手段となります。
「リスキリング=DX教育」では必ずしもありませんが、近年では、特にDX化のための新たなスキルの習得や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えています。
以下は、リスキリングに関する具体的なポイントになります。
技術革命との関連
特にデジタル技術やAIの急速な進展により、多くの職種やタスクが自動化される中、新しい職種やスキルが求められるようになります。こうした変動に対応するためには、既存のスキルを更新し、新しいスキルを習得することが不可欠です。
キャリアの多様性
リスキリングにより、一生涯にわたって複数の異なるキャリアや職種に挑戦することが可能となります。これは、経済の変動や自分の興味・価値観の変化に柔軟に対応するための重要な選択肢となりえます。
教育と研修の役割
リスキリングを成功させるためには、教育機関や職業訓練機関が提供する研修やプログラムが重要となります。企業も内部研修を強化し、従業員のスキルの再編成を支援する取り組みが求められるでしょう。
持続的な学びの意識
リスキリングは一時的なものではありません。技術や産業の変化は続くため、持続的な学びや自己啓発の姿勢が求められます。
社会全体のサポート
リスキリングは個人の責任だけではなく、政府や企業、教育機関など、社会全体でのサポートが必要です。
リスキリングが騒がれている理由とは?
ここからは、日本国内でリスキリングが話題になっている理由をご紹介します。
DXの推進が世の中に浸透してきた
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは社内のデジタル化を進める取り組みです。コンピュータやAIなどのデジタルを活用しながら業務を行うことで、業務効率のアップや良質なサービスの提供など、事業運営に良い影響をもたらします。
DXを推進している企業は少なくないものの、現場で実践するにはデジタルやコンピュータに関する知識を習得する必要があります。DX関連の業務に携わったことがない方は、聞き馴染みのないスキルを習得しなければいけない。結果、リスキリングが注目されるようになりました。
さらにAIの発達が大きいです。ChatGPTに代表される驚異的なアウトプット能力を持ったジェネレーティブAIがどんどん出てきており、これまで大丈夫だと言われていた創造的な仕事に関しても影響が出始めています。
コロナの流行による働き方
新型コロナウイルスの流行によって、働き方が変わったケースは多いです。社内で働いていた方がテレワークに変わったり、顧客とのやり取りが対面からオンラインへ移行したり、既存の働き方では対応できないケースも増えてきました。
それに伴い、新たなスキルを身につけなければならない状況になっています。これもリスキリングが注目されている理由になります。
様々な場所でリスキリングに関する宣言がされた
たとえば2020年に開催された世界経済(ダボス)会議では「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする」と発表されました。さらに経団連でも2020年11月に発表された「新成長戦略」の中で、リスキリングの必要性について触れられています。
このように国内外問わず、リスキリングに関する宣言がされてきたのも注目されるようになったきっかけと言えるでしょう。
リスキリングを進める上でのメリットとデメリット
リスキリングを進める上でのメリットとデメリットを以下に列挙します。
リスキリングを進める上でのメリット
適応能力の向上
リスキリングにより、技術や業界の急速な変化に対応する能力が高まります。
雇用機会の増加
新しいスキルや知識を持つことで、多様な雇用機会やキャリアパスが開かれる可能性があります。
キャリアの多様性
異なる職種や業種での経験が増えることで、キャリアの幅が広がり、柔軟性が増します。
自己実現
新しい知識やスキルの習得によって、自分自身の成長や満足度が向上する可能性があります。
経済的安定
将来の不確実性や業界の変化に備えて、自身のスキルセットを強化することで、経済的な安定を図ることができます。
リスキリングを進める上でのデメリット
時間とコスト
新しいスキルや知識を習得するには、時間と資金の投資が必要となる場合があります。
情報過多
どのスキルを学ぶべきか、どの教育プログラムが最適かなど、選択の幅が広がることで、情報過多となる可能性があります。
一時的な不安定
新しい分野や業種への移行は、短期的には収入の不安定やキャリアのブランクをもたらす可能性があります。
結果の不確実性
リスキリングの結果、必ずしも期待通りの成果やキャリアの展開が得られるとは限りません。
過度な競争
多くの人々が同様のリスキリングを試みることで、新しい分野や職種での競争が激化する可能性があります。
これからの時代にはリスキリングの意識や取り組みが一層重要となる
リスキリングは、今後の雇用の形態やキャリアの在り方を大きく変える要因となるでしょう。技術の進展や業界の変革に柔軟に対応するために、これからの時代にはリスキリングの意識や取り組みが一層重要となります。
そしてリスキリングは個人のキャリアや生涯学習の一部として非常に価値がありますが、進める上でのメリットとデメリットをきちんと理解し、計画的に取り組むことが重要になります。