株式会社についてどなたも聞いたことはあるかと思いますが、がどのような会社か知っていますか?株式を発行して集めたお金で運営する点が、他の会社と異なる点です。
そこで今回は、株式会社の基礎知識と株式会社設立にかかる費用目安について解説していきます。
目次
法人と会社の違いとは?
会社法では、「会社は、法人とする」と定められています。法人と会社は何が違うのでしょうか。
会社とは
日本の会社法で認められている会社の種類は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4つの種類の会社しかありません。これらの会社に共通することは、「営利社団法人」であるということです。
営利社団法人とは、簡単にいうと、活動をすることで利益を得ることを目的とする組織である法人です。つまり、会社は、利益を得るために活動することを目的としているのです。また、社団ですので組織であることを前提としており、複数人の集まりとされています。解釈によって社長1人しかいない会社でも、社団と認められるとされています。
では、4つの会社についてそれぞれ説明していきたいと思います。4つの会社は、会社が利益を得るための活動をしていくにあたって、出資者や役員がそれぞれどのような責任を負うかによって分類されています。株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4つの種類の会社の中で、一番利益を得ることに特化している会社形態が株式会社といえます。
法人とは
人は、生まれながらにして権利義務が認められている存在です。法人は人ではないので、組織として社会的活動をするには、さまざまな手続きが必要になってきます。そのうちのひとつが「登記」という制度です。法人は登記をすることで、法律で社会的存在と認められます。登記をすることで組織として社会的活動を認められた存在が「法人」なのです。
法人は人ではないので、人と同じ権利義務が全て認められるわけではなく、法律で定められた範囲内で活動を行うことができます。法人にはその目的によって、社団法人、財団法人、宗教法人などの種類があります。株式会社に代表される会社は、「営利社団法人」といいます。
株式会社とは?
株式会社とは、日本の「会社」の代表的なかたちのひとつで、株主に株式を買ってもらうことで資金を集め、その資金を用いて事業を行う会社のことになります。
上記でも記載した通り、株式会社は、株式を発行して集めたお金で運営します。株式は出資(しゅっし)(会社にお金を渡すこと)した人に対して渡される証明書のようなものです。株式会社に出資した人のことを株主(かぶぬし)と呼びます。株式会社は、株主からお金を受け取る代わりに利益の一部を還元したり、受け取ったお金を使ってどのように運営したのかを報告したりしなければなりません。
そして株主は、会社の活動に直接参加するのではなくて、株主たちによる大きな会議である「株主総会」で、会社の経営を任せある「取締役」という人たちを選びます。そして、この取締役の会議(取締役会)が、会社の代表者である「代表取締役」を選びます。この代表取締役が、従業員を指揮・監督して、実際に会社の運営をするという仕組みになっています。
上場企業と非上場企業について
上記で株式会社に構造を説明しましたが、そのなかでも上場企業とは、証券取引所で株式を公開して売買している企業のこと。広く多くの人に株式を買ってもらうことで、会社の運営資金を銀行などを通さず調達できるという利点があるわけです。
また非上場の株式会社とは、株式を証券取引所に上場せず役員や社員、ベンチャーキャピタルなどの内々で株式を売買している会社のことです。株式の公開をしていないので、買い占めや乗っ取りの危険がありません。その分資金調達が潤沢に行なえないので、銀行などの金融関係に資金を融通してもらう必要があり、この借金が経営を圧迫することがあります。
他の会社(法人)と何が違うのか?
会社を設立する(会社をつくること)場合、株式会社にせずに合名(ごうめい)会社・合資(ごうし)会社・合同(ごうどう)会社を選ぶこともできます。少し難しい話ですが「所有(しょゆう)と経営(けいえい)の分離」がある点が、株式会社と他の会社の異なる点です。
所有と経営の分離とは、出資者(お金を出す人)と経営者(実際に会社を運営する人)を分ける仕組みを指します。株式会社の場合、会社の所有者は株主で運営する人は経営者ですが、他の会社はどちらも同じです。
ただし株式会社でも、経営者が自分でお金を出して株主になることはあります。所有と経営が同じ場合、つまり経営者が自分でお金を出して株主になる場合、例えば会社が倒産すると、経営者は出資したお金に対して負債を抱えることがあります。その結果、経営者は自分のお金や財産を失うことになるかもしれません。
株式会社設立にかかる費用目安
株式会社設立にかかる費用は、およそ24万円(243,050円)です。その内訳は以下のとおりです。
■ 株式会社設立にかかる費用内訳
・定款認証印紙代:費用(40,000円)手続き・支払先(公証役場)
・定款認証手数料:費用(50,000円)手続き・支払先(公証役場)
・定款謄本手数料:費用(約2,000円(1ページ250円))手続き・支払先(公証役場)
・登録免許税:費用(150,000円(または資本金の0.7%のいずれか高い方)手続き・支払先(法務局)
・登記事項証明書代:費用(600円(1通、書面請求の場合))手続き・支払先(法務局)
・印鑑証明代:費用(450円(1通、書面請求の場合))手続き・支払先(法務局)
定款定款認証印紙代とは、定款に貼る収入印紙のことです。定款定款認証手数料とは、公証役場で定款を認証してもらうときに支払うお金です。
定款謄本手数料とは、定款の謄本を作成してもらうときの手数料です。登録免許税とは登録免許税法に基づく税で、会社の登記だけでなく、特許や許可、認可などのときにも納付することになります。
株式会社を設立する際の流れとは?
株式会社の設立手続きの基本的な流れは、以下の通りになります。
発起人を決める
発起人とは、会社設立までの手続きを進める人を指します。発起人の人数に制限はないので、複数人が発起人になることも可能です。
基本事項を決める
会社名(商号)・本店の所在地・役員構成・事業内容・会社の目的といった基本事項を決めます。
定款を作成する
「会社の憲法」と呼ばれる定款を作成します。目的や商号などの「絶対的記載事項」は必ず明記しましょう。
定款の認証を受ける
定款の記載事項に問題がないかなど、認証を受けます。認証は全国の公証役場で受けることが可能です。
出資金を払い込む
引き受けた株数に応じた金額を、発起人が金融機関に払い込みます。払い込む際は「公証役場」を発行してもらうことが必須です。
登記を申請する
登記申請は、本店の所在地を管轄している法務局などに申請しましょう。原則、登記の申請日が会社設立日となります。
まとめ
当記事では、株式会社の基礎知識について中心に説明してきました。会社設立はほとんどの人が初めて行う作業になります。上記の事は事前に把握しておきましょう。
また効率よく事業をスタートさせるためにも、不明点や疑問点がある場合には、早めに税理士や社会保険労務士、司法書士や行政書士などの専門家に相談することをおススメします。定款の作成や認証は司法書士、各種許認可の申請や外国人を雇用する時は行政書士、社会保険や労働保険などの手続きや就業規則の作成などは社会保険労務士、税務署への届け出や税務上のアドバイス、決算申告などは税理士に相談することができます。