会社設立は税理士に相談すべき?タイミングごとのメリット・デメリット

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今回は、税理士に依頼する最適なタイミングについて詳しく解説していきます。 会社設立の際、税理士に依頼するかどうかは大きな選択の一つです。 税理士とは業務の規模拡大に伴って、欠かすことのできないパートナーとなりうる存在です。 そのためにも、税理士に依頼するメリットとデメリットを把握し、その上で依頼するかどうかを考えていくことが重要です。

会社設立で税理士にいつ依頼すべき?

会社設立する際の税理士に依頼するメリットは、設立の準備段階において専門的な見地からの適切なアドバイスを受けられることにあります。一般的に税理士へ依頼する適切なタイミングは、年間売上が1,000万円を超えた時点といわれています。 売上が1,000万円を超えると消費税が課され、その計算は複雑となるため、申告書の作成は専門知識が必要です。 一方、年間売り上げが1,000万円に達していない場合、税務処理は比較的簡単であり、税務署での相談で対応できるケースもあります。 このように年間売り上げが1,000万円に達していない場合には、税理士の報酬が負担となる可能性もあります。 税理士に依頼するかどうかを検討する際には、メリットとデメリットを比較検討していくことが重要です。

【会社設立前】税理士に相談するメリット・デメリット

会社設立前において税理士に依頼するメリット・デメリットは、以下の通りになります。

【会社設立前】税理士に相談するメリット9つ

では、税理士に相談するメリットから見ていきましょう。

1.会社設立の必要性についてアドバイスを受けられる

会社設立をすると「税率を抑えられる」「信頼度が上がる」「経費の範囲が広がる」「赤字を繰り越すことができる」といったメリットがあります。 一方で「設立にかかる費用や時間」「社会保険への加入が必須である」「法人住民税の均等割が課せられる」「経理作業が複雑になる」などのデメリットも見逃せません。 売上が安定しない場合には、個人事業主と比べて維持費や税負担が増える可能性もあるため、会社設立そのものを見送る方が良いケースも考えられます。 税理士に相談することによって事業の状況に応じたアドバイスを受けらえれ、納得のいく選択肢が選べるようになります。

2.どのような法人形態が最適なのかについてアドバイスを受けられる

税理士との打ち合わせを通じて、現在の事業計画に最適な法人形態のアドバイスを受けることができます。 法人形態には、それぞれメリット・デメリットがあります。 株式会社の場合、設立費用がかさむデメリットはあるものの、信頼度は高いのがメリットです。 一方で、合同会社は低額の設立費用で済むメリットがありますが、知名度が株式会社ほど期待できないデメリットがあります。 税理士はこれらの特性を熟知しており、業種や事業内容、目標に応じた法人形態を提案することができます。 そのため、会社設立時に依頼することで現在の状況に適した法人形態を選択できるメリットがあります。

3.資本金についてのアドバイスを受けられる

たとえ資本金1円からでも、会社設立は可能です。 資本金が1,000万円未満の場合、会社設立から最大2年間は消費税の免税事業者となることができ、法人住民税の均等割が最低額で済むという利点があります。 しかし資本金が1円からでも会社を設立できるとはいえ、会社の信用や融資や補助金を申請する際の条件などを考慮した場合には、適切な資本金の額というものが存在します。 その様な観点からも、税理士からの専門的なアドバイスで適切な資本金額を設定できるため、価値があるものといえます。

4.決算期の決め方についてアドバイスを受けられる

決算期は納税額に大きな影響を与え、一度設置すると容易に変更することはできないため、その決定は慎重に行うべきです。 税理士に依頼することで、適切な決算期を設定するための専門的なアドバイスを得られます。 売上が増加する月に配慮しながら決算期を設定するなど、会社設立前に節税対策として効果的な戦略を策定する際に税理士のアドバイスは欠かせません。

5.消費税に配慮した設立のタイミングについてアドバイスを受けられる

会社設立から2事業年度の間、消費税の納税が免除されますが、これにはいくつかの条件もあります。 税理士に相談することで、これらの消費税に関する具体的なアドバイスを受けることが可能です。

6.初期費用の経費処理についてアドバイスを受けられる

会社設立に際しては、主に創立費(会社設立準備費用)と開業費(会社設立から事業開始までの費用)が必要となります。 創立費には、定款製作費や司法書士への依頼料などが含まれ、開業費には市場調査費や広告宣伝費などが含まれます。 これらの費用は、任意の期間で経費として処理することが可能で、売上が増加した時期に経費計上することで節税対策を行うことができます。 しかし、税理士ではない事業主がこれらの費用に関して、適切に節税対策を実施するのは難しく、手間もかかる作業となります。 税理士に税務を委託することによって、本業の拡大に集中することが可能となります。

7.資金調達についてアドバイスを受けられる

会社設立をした後では、設備やシステムの導入、広告宣伝のための投資、従業員の雇用などに必要な資金が必要となります。 税理士に相談することで、各種の補助金や融資制度についての提案やサポートを受けることができます。

8.役員報酬についてのアドバイスが受けられる

役員報酬を適切に設定することで節税効果が得られますが、設定次第では税負担が増える可能性もあります。 さらに役員報酬は特定の条件を満たし、期限内に手続きを行わなければ税務署から損金算入が認められません。 その様な税務の手間から解放され、事業に専念するためには税理士への依頼が最適な選択といえます。

9.煩雑な設立手続きを依頼したまま、事業に専念できる

税理士に会社設立の相談をするメリットは、煩雑な設立手続きを全て任せられる点です。 税理士に依頼することにより、行政書士への依頼、定款の作成や認証、税金関連の書類作成と提出などの手配が一元化されます。 書類作成には細心の注意が必要ですし、ミスがあるとやり直しになるため、専門家に任せることで会社設立の手続きがスムーズに進行します。

【会社設立前】税理士に相談するデメリット2つ

1.税理士報酬が発生する

会社を設立する際には、多額の資金が必要となるため、資金計画とその利益を考慮し、税理士への依頼を検討することが重要です。 安定した売上がない場合、税理士への報酬や会社の維持費用が資金計画を圧迫する可能性があるため、会社設立を延期することも選択肢として検討してみましょう。

2.税理士選びが難しい

税理士に会社設立を依頼する利点は多くありますが、税理士の選択は慎重に進めるべきです。 依頼する税理士が会社設立の支援を提供していないことや、自分の業種に対応していないこともあり得ることや相性が合わない税理士は避けた方がよいでしょう。 税理士を変更する場合、時間と精神的エネルギーが必要となります。 そのため、会社設立を税理士に依頼する際は、時間を掛けて複数の候補を選び出し、それらを慎重に比較検討することが重要です。

【会社設立後】税理士に相談するメリット・デメリット

会社設立後において税理士に依頼するメリット・デメリットは、下表の通りです。

ここから、それぞれについて詳しい解説をしていきます。

【会社設立後】税理士に相談するメリット4つ

ここでは、税理士に相談するメリットを見ていきましょう。

1.各種届出書の提出を代行してもらうことができる

会社設立の前だけでなく、設立後も税務署や市区町村への様々な届け出が必要です。 会社設立支援サービスを提供する税理士は、どの書類をどこに提出すれば良いのかを熟知しています。 会社設立は一人で行えますが、事業を正しく開始するための不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。

2.複雑な法人税務処理対応をしてもらうことができる

顧問税理士として契約することで、帳簿の作成や決算申告など複雑な法人税務の代行を委任できます。 これにより、事業拡大に専念できる環境を整えることが可能となります。

3.決算申告の代行をしてもらうことができる

法人の税務は個人事業主と比べて複雑で作業量も多く、税務調査の可能性や決算期に税務に時間を割かなければならないため、会社設立後は顧問税理士に依頼することが一般的です。 顧問税理士が居れば会社の税務にエネルギーを割くことなく、収益の向上や事業の拡大に集中することが可能となります。

4.税務調査に対応してもらうことができる

事業主として確定申告や決算申告を行うと税務調査の対象となる可能性があり、不適切な申告は修正申告や追徴課税などのペナルティを受ける可能性があります。 特に、法人は個人事業主よりも大きな金額が動くため、税務調査の対象になりやすくなります。 こうした場合に、顧問税理士が居れば税務調査に対応を依頼できるため、安心して事業に専念できます。

【会社設立後】税理士に相談するデメリット2つ

次に、税理士に相談するデメリットについて見ていきましょう。

1.設立前に決めた事項は、税理士であっても簡単に変更できない

会社設立前に決定する項目、たとえば決算期や役員報酬の額などは、一度決定すると簡単には変更できません。
決算期や役員報酬の額などは、設定方法によって節税効果が大きく変わる可能性があります。
そのため、会社設立前に税理士に相談することをおすすめします。

2.税務繁忙期では、依頼を断られる可能性もある

会社設立後の顧問契約は、税理士や会計事務所によっては断られる場合があります。 特に12月から翌年の5月までは税理士の忙しい時期で、この期間に顧問契約を依頼しても断られる可能性が高まります。 これは、個人事業主の確定申告や法人の決算申告の業務が集中するためです。 さらに、税理士の忙しい時期に依頼すると特別料金が追加されることもあるため、追加料金等についても確認しておくことが重要です。

会社設立を税理士に依頼する際の費用・報酬相場

税理士への費用は、法人向けの月額顧問料が3万円程度から始まり、会社の規模や業務内容によって異なります。 また、決算申告や融資支援などの特別な業務は別料金になることもあります。 一方で、会社設立の手続きは、顧問契約を結ぶことを条件に税理士報酬が無料になる場合もあります。 税理士事務所によって費用は異なるため、顧問契約を結ぶ前には面談中にサポート内容や料金を確認することが大切です。

会社設立を依頼する税理士の選び方

税理士を探す際には、自分のニーズに適した税理士を見つけることが重要です。 以下に税理士選びの際に確認すべき4つの要点を解説していきます。

会社設立に精通しているか

税理士は、特定の分野を専門としている場合があります。 したがって会社を立ち上げる際には、会社設立に長けた税理士を選択することが重要です。 会社設立に詳しい税理士は、設立に伴う税務関連の事項を熟知しており、融資などのサポートも行うことができます。

自分と相性が合うか

会社経営において、税理士とは長期的なパートナーシップを築く必要があります。 税理士が豊富な知識や経験を持っていたとしても、コミュニケーションが円滑に進まないと、込み入った税務や経営に関する相談は難しくなります。 依頼する際には、「説明が分かりやすいか」「話しやすい雰囲気を持った人物なのか」など、面談を通じて確認することが大切です。

業界に精通しているか

異なる業界に所属していると、自社の事業内容を伝えるのが困難な場合があります。 業界に精通した税理士を選ぶことで、業界特有の用語を用いたコミュニケーションが可能となり、業界固有の経費等について適切なアドバイスを受けられます。 さらに、ビジネスパートナーの紹介も期待できるかもしれません。 そのため、法人設立の際には税理士がどの業界に詳しいかを確認することも重要です。

資金調達に精通しているか

会社設立時や会社設立後には、運転資金や設備投資が必要となります。 金融機関からの融資や助成金、補助金を受けることができれば、それらを最大限に活用したいところです。 資金調達を支援できる税理士は、これらのプロセスを円滑に進めるために必要な書類の作成や手続きをサポートできます。

まとめ

会社設立の際に、税理士に依頼するかどうかは大きな判断材料の一つです。 その決断をする前に、メリット・デメリット、そして以来のタイミングをしっかりと理解することが重要です。 税理士に依頼するタイミングは、事業の成長局面が適切であるといえます。 また税理士に依頼するメリットとしては、税務会計の負担軽減や節税効果、さらには経営に関するアドバイスにあります。 その一方で、費用の問題もあります。 まだ事業規模の小さいうちは、その費用が大きな負担ともなりかねませんし、依頼したからといって必ずしも期待通りの結果が得られるとも限りません。 したがって、税理士のメリットとデメリットを事前に把握しておき、後悔のない選択をしていくことが重要です。

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