【日本人のための環境用語集】気候ファイナンス(Climate finance)とは?

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気候ファイナンス(Climate finance)とは?

気候ファイナンス(Climate finance)は、気候変動の緩和と適応に関連する投資のための資金調達プロセスです。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)により、「温室効果ガスの排出削減と吸収源の強化を目的とし、気候変動による人間及び生態系の脆弱性等の負の影響を軽減し、その困難や脅威に直面している状況に対して、うまく適応しながら成長する能力を維持・向上させることを目的とした資金」と定義づけがされています。

気候変動が世界に及ぼす影響

気候変動が国家、個人に及ぼす影響は益々深刻化しています。世界銀行によると、水不足の深刻化、農作物生産性の低下、海面上昇などの気候変動が原因として、世界の6地域で2億1,600万人が、2050年までに国内移住を余儀なくされる懸念を指摘しています。一方で、世界的な温室効果ガス排出量を抑えるための早急で具体的な措置を講じ、環境に配慮した包摂的で強靭な開発の促進により、気候変動による移住規模を、最大で8割減らす可能性があるともされています。

気候ファイナンスの種類

気候ファイナンスは、公的または私的で行われるもの、国内または国際的に行われるもの、二国間または多国間で行われるものなど様々で、提供された資金源は低炭素な世界経済への移行、災害や危機に迅速かつ適切な対応ができる社会(社会レジリエンス)の構築、気候変動による影響への適応多岐にわたる気候変動に対する活動に使用されます。

各国がアクセスできる多国間基金には、緑の気候基金(SCR、地球環境ファシリティ(GEF)、適応基金(AR)などがあります。気候変動による対策に多大な貢献をしてきた高所得の国は、低所得の国の気候変動対策に資金を提供するため、毎年100億米ドルを調達することを約束していますが、この目標はまだ達成されておりません。

資金源の例

・助成金や寄付
・グリーンボンド
サステナブルファイナンスの一種で、企業や地方自治体等が、国内外の地球温暖化をはじめとする環境問題の解決を目指す事業(グリーンプロジェクト)に要する資金を調達するために発行する債権のことです。透明性確保のため、調達資金は追跡管理され、それらについて、発行後のレポーティングを行われます。
・デットスワップ
債権国が債務国の国債を一部免除する代わりに、債務国は透明性のあるファンドに出資し、収益を合意された条件で気候変動プロジェクトへ使用されること
・保証
・公共資産運営権

まとめ

多くの研究によると、気候変動対策への投資は、初期費用を大幅に上回る結果をもたらす可能性があると報告されています。低炭素な世界経済への移行、災害や危機に、迅速且つ適切な対応ができる社会(社会レジリエンス)の構築、気候変動による影響への適応等に支援を行うには、大規模な投資が必要不可欠となるため、気候ファイナンスは、とても重要な役割を担っています。

引用
UNDP 「The Climate Dictionary」
https://www.undp.org/publications/climate-dictionary
環境省
https://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/overview/about.html
World Energy Investment 2023
https://www.iea.org/reports/world-energy-investment-2023/overview-and-key-findings
世界銀行
https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2021/09/13/climate-change-could-force-216-million-people-to-migrate-within-their-own-countries-by-2050
OECD
https://www.oecd.org/climate-change/finance-usd-100-billion-goal/

関連サイト
ベクターエネルギー
https://venergy.vector.co.jp/
ベクターエコサービス
https://vecos.vector.co.jp

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