融資を受ける上で重要なお金の使い道「設備資金」「運転資金」の違いについて解説

投稿:
更新:

融資を受ける場合、受けるお金の使い道は必ず聞かれることです。そもそも、何でお金を借りるのか?漠然と資金が必要だから借り入れを行いたいと考えていませんか?

融資を受けるための使用用途は大きく分けて「設備資金」「運転資金」に分かれます。今回は「設備資金」と「運転資金」の違いについて解説します。

設備資金とは?

「事業を行う環境づくりに必要な資金」

設備資金とは、賃貸事務所の初期費用、内外装設備、内外装工事、社用車、製造業の機械、オフィス関連の備品やOA機器、パソコン、WEBサイト制作費などが含まれます。簡潔にいうと「長期的に使うもの」になります。融資の際には、何をいくらで購入するかということを、見積書、請求書、カタログ、契約書などが必要となります。

また、以上のような設備投資を行うことで、収益性が改善する、売上が増加する、コストが削減できることについて具体的な数値的な説明、根拠、設備投資の回収期間を提示ができれば、融資はスムーズに進みます。

□主な設備資金の種類

・土地/建物の購入・入居資金
企業活動を行う拠点の取得費用。土地・建物の購入及び賃貸入居に関する初期費用

・生産機器・自動車・電話機・パソコン・事務用品など社内備品の購入資金
企業活動のために社内で継続的に使用する物品の購入費用

・無形資産の設置に関わる資金
自社ホームページ作成や、固定電話・FAX回線などの設置にかかる費用

・事業所の改修・改装にかかる費用
企業活動を行う拠点不動産のリフォームや建て替えなどにかかる費用

運転資金とは?

「経営を行っていくうえで必要な資金」

運転資金とは、会社経営に関わる経費(人件費、家賃、水道光熱費、通信費など)や商品の仕入れ、外注費や宣伝広告費など事業運営に必要な資金になります。簡潔にいうと「短期的に使うもの」個人世帯でいう生活費にあたります。

銀行から融資を受けるには、仕入れ額がどの程度になるのか、売上げがどの程度見込めるのか、何か月分必要なのかを論理的に説明する必要があります。

□主な運転資金の種類

・人件費
従業員への給与・一時金など

・広告宣伝費用
広告やスポンサー活動の資金

・商品や原材料の仕入費用
生産活動のために必要な元手となる商品を購入する費用

・外注費用
他所へ業務を外注した際にかかる資金。ホームページの運営/管理を外部委託した場合のコストもここに該当する

・税金など
企業単位で納める税金や従業員の社会保険料など

・事業所の維持費
企業活動を維持するため定期的にかかる費用(家賃・光熱費・通信費・消耗品費など)

「設備資金」「運転資金」の違いとは

金融機関からの融資を受ける際に、借入金の使途を「設備資金」とするか「運転資金」とするかによって、さまざまな違いがあります。

返済期間を長期にできるのは設備資金

設備資金は、コストを掛けた結果がすぐに経営状況に反映されるとは限りません。たとえば、製品を作るための機材を導入しても、作ったものが売れて企業が儲かるまでには一定の期間を要します。そのため、基本的には設備資金として融資を受けると返済期間が長く設定されます。

設備資金は借入金額が高額

購入する設備によりますが、運転資金に比較して設備資金は、借入金額が高額になるものです。申込金額が大きいということは、それだけ審査も厳しく判断されるということ。設備資金投入効果と合わせて、よりしっかりした返済計画を金融機関側に示す必要があります。

運転資金の融資にはより計画性が必要

運転資金として融資を受ける場合は、融資限度額が低くなり返済期間も短期間とされるケースが比較的多くなります。そのため、返済計画をしっかり立てておかなければなりません。ノンバンクなどから借り入れる場合などは金利も高くなるため、融資を受けたにもかかわらず金利が経営状況を圧迫してしまうことにもつながります。

設備資金は資金使途が明確

設備資金は資金使使途が明確にされていることが必須条件です。当然、融資申込に際して虚偽申告は認められません。融資実行後、金融機関担当者は必ず資金使途が正しいか確認することになります。機材購入の領収書や、場合によっては現地調査などにより確認を行います。逆に言えば、設備資金は資金使途が明確な分、しっかりと提示できれば資金使途における審査項目は比較的クリアーできることになります。

一方、運転資金の資金使途は、状況にもよりますが、正確に示すのが難しいこともあります。その場合には金融機関側に金額の妥当性をきちんと説明する必要があります。

提出する資料が違う

運転資金には明確な使途がないため、見積書などを提出する必要はありません。会社の決算書などを提出するのみになります。

それに対して、設備資金は購入予定の機械や車両の見積書などの提出も必要になります。また、場合によっては、設備資金として貸したお金が実際に設備購入に使用されているかどうかを、後で銀行が確認することもあります。

設備資金は融資までには時間がかかる

運転資金は業績に対して融資を行うものですので、決算書等があれば審査を行ってくれますが、設備資金は投資の計画書や購入しようとしている設備の見積書などが審査の際に必要になります。どのような計画で、いくらの設備が必要なのか、また投資によってどのくらいの収益が見込めるかなどを審査するためです。

このため、用意する書類の数が運転資金と比較して膨大で、審査にも時間がかかります。設備資金が融資されるまでには最初の申込から1か月~2か月程度の時間がかかってしまうと覚悟しておきましょう。

設備資金と運転資金でどちらが融資を受けやすいのか?

融資を受けやすいかどうかは、しっかりとした明確な理由があり、返済の見込みがあれば、設備資金であっても、運転資金であってもどちらが借りやすいということはないです。

設備投資の方が借入する金額が大きいからといって難しいという理由はありません。融資する側の金融機関は貸す金額が1円であっても、「返済できるか否か」で判断します。

まとめ

融資をする金融機関には、しっかりと使い道を明確にする必要がありますので、ただ単に現金を用意したいという理由で借りることは難しいのが現実です。

「設備資金」でも「運転資金」でも綿密な事業計画と設備資金であれば、ランニングコストを抑えるべく、設備の見積もりを何社かに依頼し(合見積もり)「この設備を導入する」という根拠を示すことが重要です。

より詳しい情報や起業・開業に役立つ情報は「起業のミカタ(小冊子)」を無料で贈呈していますので、合わせてお読みください。

相談会

相談会

今まで1,000人以上の相談会をしてきたアドバイザーが、豊富なデータ・最新情報とノウハウ、専門家の知見を元に、無料かつ約30分~1時間ほどで「起業・開業ノウハウ」をアドバイスします。