起業しようとした時に、簡単に営業を始められない業種が沢山あります。
許認可の種類も、許可・認可・免許・登録・届出のどれかが必要であったり、また、その許認可の届出先として、保健所や都道府県知事、税務署や警察署だったりと様々あります。そして、許認可を受けずに営業してしまうと「営業停止処分」「重い刑罰」などの処分を受ける可能性もあります。
今回は、営業するのに許認可が必要な業種をお知らせします。
※許認可が必要な業種というのは数千ありますので、今回は起業・開業することが多い業種をピックアップしております。
目次
許認可とは?
個人事業主や法人格で事業を行う場合、業種によって手続きをして営業の許可を得る必要があります。許認可とは、特定の事業を行うために、都道府県・警察署・保健所などの行政機関に対して手続きまたは審査を通して得ることができる許可等のことをいいます。言い換えると、サービスが一定の水準に満たしていないで営業を開始すると、消費者に著しく不利益が発生する業種に対して行政機関が許可を出すということになります。
許認可の手続きは、提出する書類が多かったり、結構時間がかかってしまいます。申請に必要な書類、手続き方法、手数料、許認可がおりるまでの期間、有効期限などは、業種や地域によって異なりますので、各地域の手続き窓口に相談してください。
・手続きの窓口:主に警察署、保健所、都道府県、市町村、農業委員会、陸運局など。
許認可の分類について
許認可で分類すると「許可」「認可」「登録」「届出」「免許」があります。
・許可:法令により禁止されている行為について、行政機関の審査に合格すれば営業可能になります。
・認可:行政機関に届け出て、定められた必要要件を満たした場合、営業可能になります。
・登録:行政機関に届け出て、名簿に登録されることで営業可能になります。
・届出:行政機関へ届け出ることで営業可能になります。
・免許:通常は禁じられている行為について、行政機関の審査・認可により「免許」が与えられる。
この中で、もっともハードルが高いのが「許可」です。行政機関の判断で不許可になることもありますし、審査に時間を要します。「届出」は、届出をすることで事業を始めることが可能となります。
許可が必要な業種について
一例になりますが、起業する際に多い業種の必要な「許可」「認可」「登録」「届出」「免許」になりますので、ご参考にしてください。
許可
認可
登録
届出
免許
定款、登記の「目的」に必ず記載しましょう
「許可」「認可」「届出」などが必要となる業種を行う場合、必ず、定款に定められ、登記されていなければなりません。これらがないと、許認可がおりませんので会社設立時に必ず確認しましょう。更に、将来許認可事業を行う可能性がある場合は、予め定款、登記に記載しておきましょう。もし定款・登記の記載がない場合、定款変更、登記変更の手続きを行い、その上で許認可申請を行う必要があります。
(参考記事)定款の変更手続きについて解説
許認可が不要な代表的な職種
許認可が必要な業種は数多くありますが、実は許認可が不要な業種もたくさんあります。代表的な職種としては、「学習塾」「通信販売業」「ネイルサロン」などが挙げられます。それぞれについて詳しく紹介していきます。
学習塾
学習塾は、特別な許認可が必要ありません。私立学校は許認可が必要ですが、学習塾であれば許認可を申請しないでも開業することができるのです。そのため、比較的に独立開業しやすい業種と言えます。
通信販売業
ネットなどを駆使した通信販売業も、許認可が必要ありません。基本的には、ネットショップの運営には認可が必要ないのです。ただし、中古品を扱う場合には「古物営業許可」が必要であり、食品を取り扱う場合には「飲食店営業許可」が必要となります。そのため、通信販売業では取り扱うモノが許認可の有無に関係してくるので注意してください。
ネイルサロン
女性の独立開業で人気があるのがネイルサロンです。ネイルサロンも、許認可が必要ありません。美容業界は、あまり法律的な規制が整っていないのです。そのため、今後は規制をしていこうという流れがあるため、開業する際には注意しておくべきです。
許認可を取得しない場合に考えられるリスク
事業を始める際に必要な許認可を得ていない場合、トラブルに発展する可能性があります。許認可を取得しないことによるリスクをチェックし、危険性を十分に理解しましょう。
罰則を受ける可能性がある
許認可を取得しないと罰則を受けることがあります。また、一部の許認可を除いて、許認可の申請が必要である事業は、取得しない限り始めることができません。
罰則内容については、事例によってさまざまです。たとえば、旅館業を無許可のまま始めてしまうと、「6か月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する」という厳しい罰則の対象となります。罰則を回避するためにも、どの許認可が必要であるのかを調べるようにしましょう。
金融機関から融資を受けられない
自社だけでは資金が足りずに、金融機関から融資を受けたいという場合には、許認可を取得しなければなりません。許認可を取得しないままであれば、事業を始められない可能性があると判断されるためです。
金融機関で融資を受けるときは、許認可を持っていることを証明する書類、証明書類のコピーの提出が求められます。外部から資金調達を検討している方は、許認可を取得してから融資を申請するようにしましょう。
取引額に制限が設けられる
必要な許認可を取得していない企業は、取引先との取引金額に制限が設けられます。建設業の許認可を取得していない場合は、500万円以上の仕事を受けることができません。今後の案件獲得にも影響が出るため、許認可を取得してから営業を始めるようにしましょう。
まとめ
まず事業を始める際は、「〇〇業 許認可」で検索し、下調べするのが良いでしょう。許認可は申請してから受理されるまで時間がかかることも予想されますので、開業準備のやることリストに含めておき、忘れないように準備を進めてください。
また、上記で記載しましたが、許認可が必要な業種というのは数千ありますので、必要であれば、許認可の手続きについては、専門家である行政書士に依頼することを検討しましょう。許認可を取得していないと、無許可営業ということで、重い罰則が課せられる可能性がありますので注意が必要になります。
(参考記事)起業・開業にも関係がある?行政書士の主な業務とは