カフェを開業する為の資格と免許、資金調達方法について解説

投稿:
更新:


カフェを開業したいという相談者は多く、特に最近、定年退職後にカフェを開きたいという方も増えてきています。カフェを開業するためには、一体どのような資格や申請が必要なのでしょうか?そして開業資金はどのように調達すればいいのでしょうか?

今回は、初めての方でもスムーズに準備を進めていけるように、どんな免許や資格、届出が必要なのか、どんな資金調達方法があるのか、解説していきます。

※この記事を書いている起業のミカタを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。

カフェを開業する為に必要な資格

カフェを開業する為には、必ず取得しなければいけない資格や状況によって取得しなければいけない資格があります。

食品衛生責任者

まずは、飲食店を開業するのであれば、「食品衛生責任者」の資格は必ず取得しなければいけません。各都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講すれば取得可能になります。尚、この資格は保健所に店舗の営業許可申請をする際に必要となります。

講習は、1~2ヶ月先くらいまで予約が埋まっていることも多いので、早めに申し込みをしておきましょう。受講料は1万円程度で、全国共通の資格なので、例えば東京で資格取得して、他のエリア(道府県)で出店することも可能です。

必ず各店舗に1名配置する必要があり、経営者本人ではなくとも、スタッフが取得しても問題ありませんが、基本的にはお店に常駐する人が取得します。そのため、複数の店舗では必ずお店の数と同じ人数の資格保有者が必要です。

防火管理者

収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合に取得が必要となる資格です。所轄の消防署や自治体等が主催する講習を受け、取得することができます。

火管理業務を適切に遂行する「管理的、監督的地位」と、防火管理に必要な「知識・技能」を有している必要があり、避難経路や火災報知器などの不備が原因で火災が発生した場合に、死傷者が出た場合は責任をもって対応する立場です。

カフェの延べ面積が300平方メートル以上の場合の甲種講習では2日で約10時間の講習、延べ面積300平方メートル未満の場合の乙種講習は1日約5時間で学ぶ講習となります。 受講料は甲種講習が7,500円、乙種講習は6,500円です。正確な延べ面積や席数を知る必要があるので、内装の設計が完成した段階で受講申し込みをしましょう。

みはこちらから。

カフェの開業までに必要な届出

飲食店を営業する場合は必ず「飲食店営業許可申請」

衛生法上、飲食店を営業する場合は必ず「飲食店営業許可申請」を保健所に提出する必要があります。厨房、食器棚、空調など店舗設備において細かい規定がありますので、着工前に設計士と共に所轄の保健所に相談に行っておきましょう。

スケジュールを考えて、カフェの工事が完了する2週間ほど前に店の見取り図や食品衛生責任者手帳、手数料と共に申請を済ませておきましょう。許可がおりれば開業できるようになります。

パン等を提供するカフェ開業は「菓子製造業許可申請」

パンや菓子のテイクアウトや卸業を中心として開業する場合には、「菓子製造業許可申請」が必要となります。該当する場合には、厨房を工場のように密室にするための工事をしなくてはなりません。通常のカフェよりも厨房工事費が高くなる可能性があります。

通常のカフェとしてパンや菓子の提供をする場合は、菓子製造業に該当しない場合が多いようです。物件を契約して設計に入る段階で、所轄の保健所に確認するようにしてください。

深夜営業をする場合は「深夜種類提供飲食業開始届書」

あまりカフェを深夜営業するケースは少ないですが、深夜にお酒を出して営業する場合、「深夜種類提供飲食業開始届書」が必要です。営業を管轄する警察署が窓口です。住民票や店舗の平面図が必要となります。

カフェ開業時にあると役立つ免許や資格

カフェ開業に必要な資格は前述お知らせした内容になりますが、開業する為に必ずしも必要ではないですが、お店の信頼を増すといった意味での資格はあります。

調理師免許

飲食店を開業するには調理師免許が必要と思われていますが、そうではありません。「調理師」は名称独占資格という国家資格ですが、飲食店営業には直接関係はありません。 調理師免許取得のメリットは、「食品衛生責任者」の講習が免除されることや、ふぐ調理師を目指す場合にも必要となります。カフェ営業に必要というわけではありませんが、お店の信頼が増すと言えるでしょう。

栄養士免許

「栄養士」とは、都道府県の知事が認定する国家資格です。栄養士は学校や病院などでも食生活のアドバイスを行ったりします。また、名前は似ていますが「管理栄養士」という資格も存在します。こちらは国家試験に合格する必要があります。

もし、健康面に特化したメニューのカフェを開業するならば、栄養士や管理栄養士の資格の取得を検討してみるのもよいでしょう。メニュー表などに、「栄養士が考えたレシピ」などと掲載すると信頼面でもかなりプラスになるでしょう。

『飲食店営業許可』と『喫茶店営業許可』の違い

前述でもお知らせしましたが、飲食店を営業する場合は必ず「飲食店営業許可申請」を保健所に提出する必要があります。飲食店営業許可申請以外に、喫茶店を開業する場合、喫茶店営業許可を申請する必要があります。

ちなみに、喫茶店営業とは、「喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業のこと」であると法律で定められています。ほとんどの喫茶店が提供をしているサンドイッチ・カレー・パスタなどの軽食を提供できません。(※ドリンク以外では、クッキー・ビスケットのようなお菓子等に限定されます。)また、ビールなどのアルコール類の提供もできません。軽食を提供する場合、喫茶店営業許可ではなく、「飲食店営業許可」を取得するようにしてください。

最後に、喫茶店営業許可は、営業所等を管轄する保健所等で取得することになり、申請先によって異なりますが、申請手数料は10,000円程度で、審査期間は15日程度になります。許可を受けないで飲食店営業を行った場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科規定有)となります。(食品衛生法第72条)

飲食店開業に最低限必要な手続

飲食店開業に必要な手続きや、資格・許認可・届出について以下に纏めましたので、ご参考にしてください。

手続き

手順とスケジュール

※食品衛生責任者がないと食品営業許可申請ができませんのでご注意ください。
※内装業者に依頼している場合、消防関係の許認可・届出は代行してくれることもあるので確認しておきましょう。
※上記許認可・届出の中で、ご自身のお店によっては取得・提出しなくてよいものもありますので、条件など確認しておきましょう。

カフェ開業の魅力と事業継続に重要な事とは?

カフェの独立開業の魅力は、特殊なスキルがいらず、自分の趣味や知識を活かした店舗を作れることです。小規模での開業が可能で、自分のコンセプトに基づくメニュー作りや内装設計ができるため、店舗そのもののファンを作りやすく、利益率のコントロールもしやすいです。近年では、提供するメニューだけではなく店舗そのものの”居心地の良さ”を重視した喫茶店の人気が高まっており、空間そのものやサービスがウリとなるような店舗作りが人気店の特徴となっています。

但し、理想の店舗が完成しても、開店してすぐに人気店になるには時間が必要となってきます。まずは足を運んでもらい、リピートしてくれる顧客をつかまなければ経営は安定しません。そのため、開業して間もなくは赤字となることも考えられるため、黒字化するまでの運営資金を準備しておきましょう。

また、せっかくのおいしいコーヒーや素晴らしい空間を作っても、認知されなければ集客はできません。広告や口コミ、SNSなどを利用してマーケティングを行ったり、コストの管理を行うなど、店舗経営の知識は必ず習得しておきましょう。

どのようにカフェ開業資金を調達するか?自己資金か融資か?

カフェ開業資金のうち自己資金はどれくらい必要?

融資や出資を検討する前に、まずは自己資金を最大限貯めるという心構えが最も大切です。自己資金比率が100%であれば、当然ながら開業後には返済がありませんので、月々の資金繰りが非常に楽になります。

仮に金融機関から融資を受ける場合ですが、自己資金比率は30~50%必要と言われています。カフェ開業資金全体で1000万円必要であれば、自己資金は300~500万円必要という計算です。いずれにしても自己資金が豊富にあれば、余裕を持って開業準備を進めることができるでしょう。

家族や親戚からカフェ開業資金を出資してもらうには?

実際には、両親や親戚などの身内から開業資金を出資をしてもらう人は多いと思います。でも、なかなか簡単にはカフェ開業に賛成してもらえないもの。じっくり時間をかけて理解と賛同をしてもらえるよう話し合いをしていく必要があります。

金融機関に相談に行く前に、まずは身近な存在の家族にしっかりと事業の内容を理解してもらうことが大切。家族から出資してもらった資金は、名前と金額を記録して、自己資金用の通帳に入れておきましょう。

こちらから。

カフェの開業資金なら日本政策金融公庫で融資がおススメ

日本政策金融公庫とは、100%政府出資の政策金融機関です。個人カフェで創業される方にも様々な融資制度があり、無保証人、無担保で開業資金の融資を受けられるのが特徴です。

例えば、一般貸付(生活衛生貸付)という融資制度では、飲食店営業が対象であれば、最大7,200万円まで融資可能。返済期間は13年以内となっています。年利は返済期間などによって異なりますが、1~3%以内であることが多いようです。無料での相談や創業に役立つセミナーなども随時開催されています。

金融機関が開業資金の審査でチェックするポイント

銀行がカフェ開業資金の融資でチェックするポイントは絞られています。開業する前の場合には事業をまだ行っていないので普通の企業に対して銀行がよくチェックする決算書(売上や利益、資産や負債の情報が書かれている会社の成績表のようなもの)がありません。

普通の企業に対して銀行はこの決算書を見ながら、売上や利益がしっかりと取れているかどうか、預金などの資産は十分にあるか、銀行からの借り入れが多すぎないかなどをチェックすることができます。しかし、カフェをこれから開業しようという人に対しては、この決算書がないので普段とは違った特殊な審査を行うことになります。

銀行が開業する企業にお金を貸すか貸さないか判断するポイントは基本的に3つ重要な事があります。1つ目は自己資金(これまで自分で準備してきたお金)はある程度あるか、2つ目はこれまでにカフェで働いてきた経験があるか、3つ目はクレジットカードや公共料金などの諸支払いぶりが悪くないかです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?カフェ開業するためには、必須の資格や届出があります。特に「食品衛星責任者」は早めに取得しておきましょう。また、その後の「飲食店営業許可」もスケジュール調整をうまく行わないと、オープン時期が遅れることがありますので注意してください。

予め、場所や用途、内装などを想定しておけば、必要な資格や届出が明確になり、準備を進めていきやすくなります。分からない事があれば、許認可の事であれば専門家である行政書士や、現場の事をよくわかっている内装業者などに事前に相談しておくと良いでしょう。

より詳しい情報や起業・開業に役立つ情報は「起業のミカタ(小冊子)」を無料で贈呈していますので、合わせてお読みください。

相談会

相談会

今まで1,000人以上の相談会をしてきたアドバイザーが、豊富なデータ・最新情報とノウハウ、専門家の知見を元に、無料かつ約30分~1時間ほどで「起業・開業ノウハウ」をアドバイスします。