当記事では、レンタカービジネスでの開業について解説していきます。
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目次
レンタカービジネスとは?
簡単に纏めると、有償にて自動車を貸し出す事業になります。法律上では自家用自動車有償貸渡業と言います。レンタカービジネスをはじめるには、まずは国土交通省の運輸支局へ許可申請する必要があります。
レンタカービジネス開業に必要な許可と資格
レンタカー事業者の許可を得るためには、大きく分けて「ヒト」「モノ」「カネ」の3種類の要件を満たしている必要があります。
ヒトに関する許可
人に関しての要件は、2年以内に法定処分を受けていると主な欠格事由になります。レンタカー事業者の許可は、法人であっても個人であっても取得することができますが、法人の場合はその法人の役員が1人でも欠格事由に該当する場合は許可を取得できません。また、レンタカーに使用する車両の種類や台数によって、整備管理者を選任する必要があります。
モノに関する許可
物に関する要件としては、事務所や営業所と車両を保管する車庫を準備しなくてはいけません。営業所の広さなどに要件はありませんが、車庫は営業所から2キロメートル以内の場所で全ての車両を駐車できるスペースを確保する必要があります。また、レンタカーとして使用できる車種は、自家用自動車、特定の条件を満たす自家用マイクロバス、自家用トラック、特殊用途自動車、二輪車の5種類です。
カネに関する許可
お金に関する要件では、資本金や預貯金などの財務状況や運転資金の確保については審査の対象となりません。しかし、関係する要件として、貸し出す車両に最低限の金額を補償する自動車保険への加入が義務付けられています。
開業に必要な資格
バスやトラックなどを使用する場合や乗用車を10台以上営業所に配置する場合は、営業所ごとに選任の整備責任者を配置しなければなりません。整備責任者は誰でもよいというわけではなく、自動車整備士技能検定の1級整備士、2級整備士、3級整備士のいずれかの資格を有している必要があります。
また、これらの資格を持っていない人は、実務経験によって選任することも可能です。その場合、整備対象と同種類の自動車の点検や整備、管理に関し2年以上の実務経験と、地方運輸局が行う「整備管理者選任前研修」を修了することが条件となります。
レンタカー事業の開業に必要な許可
レンタカー事業を開業するためには、「自家用自動車有償貸渡業の許可」を取得する必要があります。「自家用自動車有償貸渡許可申請書」を、レンタカー業を営業したい地域が管轄する運輸支局の窓口に提出することで取得可能です。おおむね1カ月ほどの処理期間が必要となりますが、書類に不備があったり申請が多い時期だとそれ以上の日数がかかる場合があります。
事業開始日があらかじめ決まっている場合は、日数に余裕を持って申請書を提出した方がよいでしょう。申請書の審査が完了し許可が降りると、運輸支局から連絡があり窓口で許可証が交付されます。このとき、登録免許税の納付書も渡されますのでこれを持って金融機関などで9万円を納め、その領収証を再び運輸支局の窓口で提出すれば許可取得の手続きは完了です。
次に、レンタカー車両の登録を行います。車両登録は、レンタカーを営業する住所を管轄する陸運局(検査登録事務所)に「事業用自動車等連絡書」を提出することで可能です。この書類は、レンタカー事業者の許可がおりたときに運輸支局で交付されるもので、地域によっては許可証と引き換えという場合もあります。レンタカー登録の際は、この書類のほかに車検証のコピーが必要です。登録が完了すると「わ」ナンバーを取得することができ、業務を開始できるようになります。
開業にあたり留意点
まず、個人で取得したレンタカーの事業許可は法人には引き継ぐことができないという点です。開業することは個人でも可能ですが、途中で法人成りする場合は原則として事業許可を取得し直す必要があります。
そして申請者が法人の場合、役員全員が以下の条件を満たしていないと許可取得ができません。
・1年以上の懲役や禁錮刑を受けた場合、その刑の執行が終わって2年を経過していること
・一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業、自家用自動車の有償貸渡(レンタカー事業)の許可取消しの処分を受けてから2年を経過していること
・未成年者でも成年と同じ営業能力があること
・申請日より前の2年間に、自動車運送事業経営類似行為(白トラ、ナンバー貸しなどのこと)で処分を受けていないこと
更に下記のケースでは整備管理者を定めて運輸支局に届出を出す必用があります。
・自家用自動車10台以上をレンタカー登録する場合
・乗車定員11人以上のバス1台以上をレンタカー登録する場合
・総重量8t以上のトラック5台以上をレンタカー登録する場合
ちなみに、整備管理者は、下記のいずれかに該当する者しか選任できませんのでご注意ください。
・3級以上の自動車整備技師の資格を持っている人
・資格がない場合は自動車の整備管理の実務経験が2年以上ある者が、「整備管理者選任前講習を修了」した人
最後に、自動車保険について、法律では下記の補償の自動車保険に加入するように定められていますが、もし、精密機器を輸送中の車両と事故を起こし、損害賠償請求された場合は、とうてい200万円では足りませんので、万が一に備え、対人・対物は「無制限」で加入しましょう。
自動車保険への加入要件
・対人保険:8,000万以上(1人あたり)
・対物保険:200万以上(1人あたり)
・搭乗者保険:500万以上(1人あたり)
フランチャイズの加盟も検討しましょう
レンタカー事業を開業する場合、大手レンタカーチェーンのフランチャイズに加盟する方法も考えられます。この方法のメリットとしては、集客や車両の調達、トラブル対応などの業務フローが安定していることがあげられます。初めてレンタカー事業を行うにしても、業務フローを守りながら、わからない点を本部に随時相談して進めていけるのは大きなメリットでしょう。また、利用者にも、大手レンタカーチェーンの名前は「信頼できる」という理由で好意的に受け取られます。
一方、フランチャイズ本部に支払う加盟料が50万円ほどかかります。そのため、ある程度まとまった開業資金が必要になる点がデメリットです。また、フランチャイズ本部の意向に従う必要があるため、独自のアイデアを盛り込みにくいというデメリットもあります。
まとめ
レンタカー事業は許可と資格があれば誰でも始められます。自動車を購入することが少なくなってきた背景や、ビジネス的に低コストかつ高収益な状況が発生しているため、上手に運営すれば事業として成功しやすいのが実情です。現在は、カーシェアリングと組み合わせたビジネスも主流になってきております。
実際にレンタカー事業での開業を目指す際は、運輸支局など、官公庁とのやり取りが非常に多くなります。そのため、行政書士など、官公庁とのやり取りや手続きを把握している専門家に依頼するとスムーズにいくでしょう。