ビジネスの華々しい舞台へ!IPO申請期の全てを解説

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申請期、直前期、直前々期について

IPO準備の場面では、「申請期はいつですか?」や「今N-2期になります」というような話が会話の中でよく出てきます。IPOのコンサルタントや証券会社、監査法人などと最初に話す際には必ず確認される内容になります。

申請期とは、その名の通り証券取引所に上場の申請をする期になります。そしてその申請が通れば、その期のうちに上場をすることになります(まれにその次の期が上場日となることもあります)。

取引所への申請は、過去2期分の財務諸表について監査法人の監査証明を受ける必要があり、特に直前期は色々な体制の整備や予算の達成度、内部監査など、上場会社として必要となる条件を1年を通して満たすことが出来ているかを確認される重要な事業年度であり、基準期とも呼ばれます。上場の申請をする期の直前の期ということで直前期と呼ぶこともありますし、上場の際に開示する財務諸表等の基準となる期であることから基準期と呼ぶこともあります。

さらに業界の中では、上場準備会社が目標とする申請期を“N期”として、その直前の期を“N-1期(Nマイナス1期)”と呼ぶことも多いです。

上記の通り監査法人の会計監査を受ける対象は申請期の直前2期であり、申請期の2期前も重要な期となります。

直前期の直前の期ということで直前々期と呼ぶこともありますし、“N-2期”と呼ぶこともあります。この期では、直前期ほどのレベルでの運用が求められるわけではありませんが、内部統制がしっかりしていなければ監査法人としては監査のリスクが高いことから会計監査をしてくれない可能性もありますし、適正意見という、会社の作った財務諸表が適正に作成されていると監査法人がお墨付きを与える意見を表明しない可能性もあります。そのため直前期に向けた準備期間という位置づけなどとして、ある程度は上場会社に求められる水準の社内体制等を整える必要があります。

公開会社と非公開会社について

上場会社は証券取引所等において株式を公開しているために公開会社と言われますが、会社法上の定義としては、公開会社は必ずしも上場会社のみを指すわけではありません。

会社法の第2条5号において、会社法上の“公開会社”の定義がされており、「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。」となっています。

つまり、ある会社の株式を取得する際にその会社の承認が不要となっている会社のことを会社法では公開会社と呼びます。
 
一般的な中小企業では、見ず知らずの人や会社として参画を望まない人が株主になることを防ぐなどの目的で、その会社の株式を取得する際に会社の承認を必要とする、という内容を定款において規定しており、それが会社法でいう非公開会社になります。

会社が非公開会社となっているかを調べたい場合には、謄本の“株式の譲渡制限に関する規定”という項目に、「当会社の発行する株式は、すべて譲渡制限株式とし、当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を得なければならない。」などの記載が確認できれば、その会社は会社法でいう非公開会社ということになります。

上場準備会社も上場までは非公開会社としている場合が多いと思います。上場までの経営は安定的かつ機動的に進めていく必要があることから、非公開会社にした上で限られた合意の取りやすい株主と共に準備を進めていく方が望ましいからです。

ただし上場の審査の段階では公開会社となっている必要があることから、通常は申請期(取引所に上場を申請する事業年度)に開催される定時株主総会(申請期の直前の事業年度に関する定時株主総会)において株式の譲渡制限を撤廃する、すなわち公開会社に変更するという手続きを踏むことになります。

なお、上記の通り株式の譲渡制限については定款の記載事項で、謄本にも記載される事項であることから、株主総会において定款の変更を決議した上で、変更登記により謄本に反映させる必要があります。

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                      (編集:起業のミカタ編集部)

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