夢を叶えるチャンス!人材派遣会社の立ち上げに必要なステップを紹介

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人材派遣会社を設立するには、クリアしないといけない要件が数多くあります。労働者派遣業は、ほかの業種に比べて設立までのハードルが高いのが特徴的です。

今回は、人材派遣会社の設立方法について解説していきます。

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労働者派遣事業とは?

労働者派遣業は、自社(派遣会社・派遣元)が雇用する人(派遣社員)を、派遣先へ送り、その派遣先の指揮命令により、その派遣先の仕事をさせる事業形態のことです。

労働者派遣事業には、請負と有料紹介事業、労働者供給事業の3つがあり、この中の労働者供給事業には労働者を常時雇用する特定派遣事業と、労働者を会社に登録させておき、企業への就業が決まった時にだけ雇用する一般労働者派遣事業があります。一般労働者派遣事業は「登録型派遣」とも呼ばれ、派遣会社に登録している間は賃金が発生せず、雇用の保障がないことから厳しい法規制があり、派遣会社は厚生労働省の許可がなければ開業することができません。

尚、、2015年の労働者派遣事業の適正な運営確保及び、派遣労働者の保護等に関する法律(通称「労働者派遣法」)の改正により、特定派遣事業と一般労働者派遣事業の区別はなくなりました。

労働者派遣業と似た事業に、職業紹介事業というものがあります。大きな違いは雇用契約先です。労働者派遣業は労働者と派遣会社が雇用契約に対し、職業紹介事業は労働者と派遣先の会社が直接雇用になります。

・労働者派遣業:労働者と派遣会社が雇用契約
・職業紹介事業:労働者と派遣先の会社が直接雇用

派遣できない業務がある!?


派遣することのできない業務もあります。主に専門性の高い業務は、派遣を送ることはできません。

・病院等における医療関連
・港湾運送関連
・建設関連
・警備関連

その他、資格を有していないとできない業務

病院等における医療関連

医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士、診療放射線技師、歯科技工士などの医療関連の業務も、資格がないとできないので、派遣することはできません。尚、病院が離島にあるなどやむを得ない理由で、都道府県の医療対策協議会が認めた場合も、医師の派遣が可能になります。

港湾運送関連

港湾運送関連とは、船内荷役(=船の荷物の積み下ろしなどをする人)、筏(いかだ)や艀(はしけ)での運送、船に積んだ貨物の鑑定や検量などになります。

建設関連

土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体の作業またはこれらの作業の準備の作業に係る業務などがありますが、基本的に建設に関連する作業を派遣に任せることは出来ません。

警備関連

住宅や施設などの事故や事件を未然に防ぐ警備関連の仕事も、派遣できない業種に当てはまります。

その他、資格を有していないとできない業務

その他、資格を有していないと業務ができない弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士などの専門家も派遣できません。

派遣会社を設立するまでの流れ

以下の4つのステップが大まかな流れになります。

・①派遣元責任者講習の受講
・②資本金の用意
・③会社登記
・④許可申請

①派遣元責任者講習を受講

労働者派遣事業を行う許可を得るには、派遣元責任者講習の受講が必須です。派遣元責任者講習は、派遣事業に関する様々な知識を労働法に詳しい専門家が行う講習会のことです。一度受講すれば、3年間は有効です。講習会は「一般社団法人 日本人材派遣協会」や、「公益社団法人 労務管理教育センター」など様々な機関が全国各地で開催しています。費用は実施期間によって多少異なりますが、およそ5000円~1万円程度です。

尚、更新については、有効期間が満了する日の30日前までに十分な余裕をもって厚生労働大臣に対して許可有効期間更新申請を行う必要がありますその際の手数料は許可更新申請書には手数料として、55,000円×一般労働者派遣事業所数の収入印紙を貼付する必要があります。

②資本金2,000万円以上を用意する

この部分が大きな障害となりますが、派遣会社を設立するには、資本金が2000万円以上ないと、厚生労働省の許可がおりません。尚、職業紹介事業(有料)なら用意する資本金は、500万円以上あれば大丈夫です。

③会社設立

登記については、一般的な起業する時と一緒の必要書類と申請を行います。まずは定款に記載する基本的事項を考え、登記に必要な、印鑑の作成・登録をし、公証役場で定款を認証し、資本金(出資金)の払込みをして、自分たちが設立する会社の本店所在地を管轄する法務局に作成した書類一式を持参して、窓口に提出し会社の登記が完了になります。

詳しくは以下よりご確認ください。

(参考記事)会社設立に必要な情報一覧

④厚生労働省へ労働者派遣事業の許可申請

必要書類をそろえたら、労働局へ事業の許可申請をしに行きましょう。申請書類を提出したあとは以下を経て許可が下りれば、労働者派遣事業をスタートになります。

・労働局による申請書の調査
・事業所の現地調査
・厚生労働省による審査内容の確認
・厚生労働大臣から労働政策審議会の諮問

尚、労働政策審議会は月1回の開催なので、全ステップで2~3ヶ月かかるつもりで申請したほうがいいでしょう。実体がないと許可申請ができませんので、事前に会社登記する必要があります。会社登記して許可申請が下りないとそもそも事業が出来ず、登記だけした状況になりますので、予め、派遣業に詳しい専門家(司法書士など)に相談。依頼しておくと良いでしょう。

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派遣会社を設立するための主な要件

派遣会社を始めるには、守らないといけない要件がいくつかあります。メインとなる要件は、主に以下5つになります。

・資産要件
・派遣元責任者の要件
・事業所に関する要件
・適正な事業運営についての要件
・個人情報の管理要件

資産要件

資産要件はについては、「基準資産額が2,000万円以上」「資産のうち1500万円以上が現金・預金」「(資産ー負債)=負債の1/7以上」すべての要件をクリアにする必要があります。

※借入金や融資・出資などは、資産に含まれません。要するに自己資金で賄うことが条件です。

派遣元責任者の要件

派遣業を行うには、社内に「派遣元責任者」が最低でも1人必要です。「派遣元責任者」は、「派遣元責任者講習」を受講しなければなりません。そして、派遣事業を行う事業主にも要件があります。代表的なものをご紹介します。

・未成年でないこと
・住所が一定していること
・健康な状態であること
・公共の場にふさわしくない業務でないこと
・名義借りではないこと
・雇用管理をした経験(3年以上)があること
・在留資格があること(外国人の場合)
・労働者派遣法6条の第1号から第12号に定める欠格事由に該当しないこと

労働者派遣法6条の第1号から第12号に定める欠格事由とは?
以下のいずれかに当てはまると、要件をクリアできないので、しっかりとチェックしていきましょう。

・労働基準法など労働関係法・刑法の違反をしてから5年を経過していない
・破産している
・以前に労働者派遣事業の許可が取消されたことがあり、命令の日から5年を経過していない
・暴力団員の場合もしくは、暴力団員でなくなってから5年経過していない
・暴力団員に事業を支配されている、もしくは暴力団員が業務に従事・サポートをしている
・法定代理人が欠格事由に当てはまる
・法人の役員の誰かが欠格事由に当てはまる

事業所に関する要件

事業所に関する要件は、事業所の面積が20㎡以上と風俗営業法の規制の対象となる風俗営業が近隣にないことの主に2つになります。尚、20㎡の定義は事業で使うスペースなので、キッチンや浴室などは含めません。

適正な事業運営についての要件

派遣事業を運営していくうえでの要件もいくつかあります。
メインの要件は、労働者派遣事業を当該事業以外の手段(会員の獲得、組織の拡大、宣伝等)として利用しないことと、登録時に手数料に相当するものを徴収しないことになります。

個人情報の管理要件

個人情報を管理するための要件も必須です。基本的な個人情報の管理要件は、以下の6つです。

・個人情報を取り扱う職員の範囲が決まっていること。
・個人情報を取り扱える職員以外のアクセスを防止する措置があること。
・個人情報を業務以外の目的で使用や漏洩をしないこと。
・派遣労働者から求められた場合、個人情報の開示・訂正・削除に関する規定があること。
・個人情報を常に正確かつ最新のものにしておく措置ができていること
・個人情報の紛失・破壊・改ざんへの防止策ができていること
・収集禁止の個人情報

尚、収集してはいけない個人情報もあります。社会差別(人種、民族、出生地、容姿など)や思想・信条(支持政党、人生観、愛読書など)など安易に聞き出すことがないように注意しましょう。

違法な派遣

以下のような派遣は禁止されています。

・禁止業務への派遣
・無許可・無届けの派遣
・期間の制限を超える派遣
・二重派遣(労働者供給事業に該当)
・特定の相手だけに派遣することを目的とした派遣
・労働争議(ストライキやロックアウト)中の企業への新たな派遣
・派遣期間制限に抵触する日の通知を受けないで行う派遣
・認められている業務や派遣社員以外の日雇派遣
・80%の制限を超えるグループ企業への派遣
・離職後1年以内の退職社員の派遣

その他、派遣前の派遣先における面接や、履歴書の送付は禁止されていますが、派遣社員本人が希望した場合、紹介予定派遣の場合は可能になります。

派遣会社を設立するまでの費用感

前述で、資産要件の所で、資本金を2000万円以上用意する旨を紹介しましたが、それ以外にも設立までに払う主な費用が3種類あります。

・定款を認証する費用
・登記する費用
・派遣業の許可費用

定款を認証する費用

派遣会社に限らず、起業するときには定款認証に関する費用を公証役場に支払います。

・定款認証手数料:5万円
・定款に貼る印紙代:4万円
・定款の謄本:約2,000円

おおよそ10万円程度の費用が発生します。ただし電子定款を利用すれば、費用を抑えることが可能になります。

登記する費用

こちらも起業時に必ず払う、法務局への登記費用になります。

・登録免許税:15万円~
・登記事項証明書の発行手数料:600円/1通
・印鑑証明書の発行手数料:約450円/1通

登録免許税は、資本金の額×0.7%で算出します。たとえば、資本金5,000万円でかかる場合は35万円になります。資本金が1,000万円の場合は計算式上7万円ですが、最低ラインが15万円なのでその額まで引き上げられます。

派遣業の許可費用

派遣事業を行うときのみかかるのは、派遣業を許可してもらう際の費用です。

・許可手数料:12万円
・登録免許税:9万円

事業所が1ヶ所の場合の合計額は、21万円になります。
「許可手数料=収入印紙」「登録免許税=領収書」この2つを許可申請書に貼付して納めましょう。ちなみに複数の事業所にわたる場合は、1ヶ所増えるごとに許可手数料が5万5,000円ずつ加算されます。

人材派遣会社設立に必要な労働者派遣事業許可の取得の資産要件を満たす為には

前述でもお知らせしましたが、人材派遣会社を設立する場合に必要な労働者派遣事業許可の取得に際し、資産要件は「基準資産額が2,000万円以上」「資産のうち1500万円以上が現金・預金」「(資産ー負債)=負債の1/7以上」すべての要件をクリアにする必要があります。

2,000万円あれば、余分なものを始めから買わないかぎり、預金も1500万円以上となることでしょう。2000万円が手元にない場合、お金をかき集めるしかないです。集める方法として以下の方法が考えられます。

・親や親族・知人から個人で借りて会社に資本金として入れる。もしくは直接、会社に出資してもらう。
・前職の退職前でサラリーマンとしての信用があるうちに、個人でカードローンを多く作っておく。
・生命保険に入っているのであれば生命保険会社から借りられないか調べて借りる。
・現金の代わりに「物」を出資と見なす現物出資制度を利用する。

どのような方法でも費用を集めるのは至難の業なので、人材派遣会社で起業予定の方は、税理士や公認会計士などの専門家に一度相談すると良いでしょう。

こちらから。

運転資金の借り入れは融資を検討しましょう

人材派遣会社は、売上が大きくなればなるほど、売掛金がふくらんでいきます。一方で売上原価である派遣社員への給与は売掛金より先払いであることが多いです。そのため人材派遣会社は、運転資金の融資が必要となる業種と言えます。また、人材派遣会社の売上が伸びていけば、先に支払わなければならない給与が多くなります。その場合、もっと多くの運転資金の融資を銀行から受ける必要があります。

融資先としては、日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付融資などが良いでしょう。融資制度にもよりますが、無担保・無保証の融資制度や、金利も安価です(1~2%程度)。

まとめ

いかがでしたでしょうか?労働者派遣事業は資格の取得も講座を受講するだけで可能であることから、特殊なスキルを要さないという点も魅力的ですが、2,000万円以上の資産が要件になっていることや事務所や個人情報などの規定が細かく設定されています。

加えて、講座を受講してから許可申請を行う必要があること、申請したのち許可証が発行されて事業を開始できるまでにおよそ2~3か月程度かかることから、参入の難易度の低さの割には計画性が必要な事業ですので、労働者派遣事業で起業を検討されている方は、会社設立の専門家である司法書士や、お金が必要になってきますので、お金の専門家である税理士などに事前に相談しておくと良いでしょう。

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