飲食店をオープンする前に知っておきたい!営業許可取得の流れと注意点

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飲食店を開業する場合には必ず飲食店の「営業許可」を取る必要があります。無許可で営業すると、食品衛生法や風営法違反となり、懲役または罰金という重い罪が課せられてしまいます。

そこで今回は、飲食店開業する時に必ず必要な営業許可の取得するまでの流れや注意点について解説していきます。

飲食店開業する時に必要な営業許可とは?

飲食店の営業許可とは、飲食店を開業する際に必要な手続きで、食品衛生法に基づく「営業許可の申請や営業届出」を行い、保健所による施設や設備の検査をクリアして、「営業許可」を取得することになります。カフェ、レストラン、居酒屋、立ち呑みなどは当然必要になりますが、ランチ時にやってくる車の移動販売や、お祭りの屋台、イベントで出店されているクレープ屋さんなどなど、店舗の有無にかかわらず、食品を調理して提供する場合には必ず必要になります。

そして検査に合格するための条件は「食品衛生責任者の設置」「営業許可証の申請」の2つになります。以下でそれぞれについて詳しく説明していきます。

食品衛生責任者の設置

規模の大小を問わず、飲食店においては、1店舗につき1人以上食品衛生責任者を置くよう義務付けられています。食品衛生責任者とは、店舗内における食品の衛生管理を監督する責任者のことで、食中毒などを起こさせないようにする役目を担っています。

食品衛生責任者の資格は、以下のような条件に当てはまる人が取得することができます。

食品衛生責任者資格を取得できる条件

・栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、と畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者の有資格者
・保健所長(特別区にあっては、特別区の区長)が実施する食品衛生責任者になるための講習会または知事の指定した講習会の受講修了者

上記の資格のうちいずれも取得していない場合は、「食品衛生責任者養成講習」を受講することで資格を得ることができますので、管轄(各都道府県)の食品衛生協会で講習日程等を調べてみましょう。

営業許可証の申請

営業許可証の取得には、申請書類を準備し、保健所へ提出するところから始まります。書類提出(許可申請)から実際の開業までは、おおむね2~3週間ほどかかります。許可取得までの流れについては、以下で詳しく説明します。

飲食店の営業許可証取得までの流れ

営業許可取得の流れのステップは以下の通りです。

保健所に事前相談

出店するお店の管轄の保健所に相談に行きます。事前に行かなくても構いませんが、初出店の場合、保健所に確認しておいた方がいいです。施設基準に合致しているかなどを事前に確認するため、施設の工事着工前に図面等を持参していくといいでしょう。貯水槽使用水(タンク水)や井戸水等を使用する場合、水質検査が必要です。

営業許可申請

事前相談したことを踏まえて、営業許可申請をします。施設完成予定日の10日くらい前に必要書類を保健所に提出して下さい。保健所は、8時30分~17時30分までですが、実際の申請時には、ぎりぎりのタイミングで行っても次の日にされてしまうので、出来れば午前中に行くようにしましょう。

<必要書類等>

・飲食店営業許可申請書
・営業設備の大要
・平面図
・見取図
・登記事項証明書(法人が申請する場合)
・水質検査成績書
・食品衛生責任者の資格を有することを証するもの

飲食店営業許可申請書

申請書です。保健所に行けば申請用紙をもらえます。インターネット上でPDFデータやWordファイルを公開している保健所もあります。

営業設備の大要

営業許可を取得するお店の設備や、お店の構造について記載する書類です。これも保健所に行けば用紙をもらえますし、インターネットで入手可能なこともあります。

平面図

お店の厨房機器や客室のテーブルの配置などを記した平面図が必要です。図面は、見やすければボールペンと定規を使って手書きしたものでもOKです。お店の入り口、客席のテーブルやイス、カウンターの位置、トイレの位置、手洗器の位置、シンクや厨房機器の位置などを書きます。

見取図

お店の場所を表す地図です。手書きでなくても別途印刷したものでも構いません。お店のある場所に印をつければOKです。この地図を頼りに保健所の担当者がお店を見に来ます。

登記事項証明書(法人が申請する場合)

法人として営業許可を申請する場合には、「登記事項証明書」を提出する必要があります。この書類は会社の設立年月日や、事業内容、代表者名など法人に関するあらゆる情報が記載されているもので、「目的」の欄に「飲食店経営」が入っていることを確認した上で、保健所に提出しましょう。

途中で事業内容を変更した場合や、会社設立時は別の事業を行っていて新たに飲食業に参入する場合など、「飲食店経営」の記載がない場合は保健所に相談してください。登記事項証明書は、事業登録を行った自治体の役所でもらうことができます。

水質検査成績書

お店で使用する水が貯水槽から引かれているような場合は、1年以内に発行された水質検査成績書が必要になります。水質の検査は建物オーナーの義務なので、管理会社もしくは大家さんに言えば出してもらえます。雑居ビルでお店をオープンするような場合、貯水槽から水を引いていることが多いため入居時に確認した方がよいです。なお、使用する水が水道直結の場合は不要です。

食品衛生責任者の資格を有することを証するもの

食品衛生協会で講習を受けて食品衛生責任者の資格を取得した場合は「食品衛生責任者手帳」を、調理師や栄養士の方は「免許証」を持っていけば大丈夫です。保健所によっては現地調査のときに原本を提示すればOKというところもあります。

施設検査の打ち合わせ

担当者と施設の確認検査の日程等について相談をしてください。

施設の確認審査

施設が申請のとおりか、施設基準に合致しているかを保健所の担当者が確認します。 検査の際は営業者が立ち会ってください。

施設基準に適合しない場合は許可になりません。不適事項については改善し、改めて検査日を決めて再検査を受けてください。
※施設基準に合致していることが確認できた場合、「営業許可書交付予定日のお知らせ」を交付します。

営業許可証交付

営業許可証交付予定日になりましたら、「営業許可証交付予定日のお知らせ」及び認印を持参して、保健所で営業許可証の交付を受けてください。施設基準適合確認後、許可書を作成しますが、交付までには数日かかりますので、開店日等についてはあらかじめ打ち合わせをしてください。

営業開始

食品衛生責任者の名札(10cm以上(幅)×20cm以上(高さ))を施設内に掲示してください。

営業許可証の種類について

保健所に申請する営業許可証は1つとは限りません。もちろん、飲食店を営業する場合には「飲食店営業許可証」が必要になりますが、店舗で扱う飲み物や食べ物、調理業・製造業・処理業・販売業等の営業形態によっては飲食店営業許可証の他にも申請をしなければならない許可証が存在します。

例えば、既に作られているアイスクリームを販売することは飲食店営業許可証のみでも可能ですが、牛乳や砂糖などの原料からアイスクリームを作ることは飲食店営業許可証のみでは不可能です。原料からアイスクリームを作る場合は、「アイスクリーム類製造業」の許可を申請しなければならないのです。

また、肉や魚等の食材を販売する場合には、その食材に関係する「販売業」の許可が必要となります。肉であれば「食肉販売業」、魚であれば「魚介類販売業」のように、販売する物によっては「販売業」の許可が必要となります。

このように、出来上がっている物の販売は可能であっても、その物を店舗で作る場合には「製造業」の許可が、販売する物において許可が必要となる食材の場合には「販売業」の許可が必要となる業種は数多くあるため、自身が行う業種において、どんな許可を取らなければならないのかを把握しておきましょう。

許可を取ったあとは?

営業許可証が交付されたら、交付された営業許可証はお店の目立つところに掲示しましょう。営業許可には期限があり、期限が切れる1か月前までに保健所で更新の手続きをする必要があるので注意してください。

また、営業者の名前や住所が変わった場合、お店の名前やお店の設備の一部変わった場合、食品衛生責任者が変更になった場合などにはその旨の届出が別途必要となります。なお、お店を譲渡したりして、お店の営業者が変更になる場合やお店を増改築するような場合、お店が移転するような場合には、飲食店営業許可を新たに取得し直す必要があります。

営業許可を受ける際の注意点

営業許可を受ける際には、まず自分が営業許可を受けられない場合に当てはまっていないかということを確認しておく必要があります。

営業許可を受けられない場合がある

営業許可を受けられない場合とは、過去に食品衛生法に関する行政処分を受けたり、食品営業の停止処分を受けたりしてから2年が経過していない状態を指します。全く初めて新規開業を行うような場合には、当然このような処分を受けたことはありませんから、問題なく申請を行うことができるでしょう。

申請書提出の前に保健所に相談をしておく

営業許可書申請書などを保健所に提出する際には、必ず保健所に事前相談をしておきましょう。自分のお店が基準を満たしているか否かをきちんと確認できてから申請すれば、余計な手間をかける必要はありません。

営業許可が下りるまではお店の営業ができない

お店の営業が可能になるのは、実際に営業許可が下りてからです。交付前に営業を始めてしまうと、食品衛生法違反などに該当してしまいますので、この点も注意しておきましょう。

まとめ

営業許可を保健所に申請する場合、施設基準に合致しているかなどを事前に確認するため、事前に内装業者に相談しておくことをお勧めします。内装業者はこのような許認可には慣れており、ノウハウがあります。消防署の届出にも関係していきますので、併せて内装業者に相談しておくといいでしょう。

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