成功への第一歩!会社設立に必須の『定款』のポイントとは?

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株式会社を設立するためには、「定款」(ていかん)の作成は必須事項になります。定款に記載する内容は法律であらかじめ決められていますが、初めて作成する場合、どのように記入したらよいか戸惑うことがあるかもしれません。

そこで今回は、定款に記載する内容について解説していきます。

定款とは?

定款とは「会社の憲法」

定款とは会社の屋号(名前)、事業の目的、本店の所在地、資本金額、株式、組織、運営など会社の基本的なルールを定めたもののことをいいます。定款作成は発起人全員によって行い、発起人の署名または記名捺印が必要になり、作成された定款を国の機関である公証役場の方(公証人)で認証を受けてはじめて効力を発揮します。

また、定款には絶対に記載しておかなければならない項目があります。これを絶対的記載事項といいます。絶対的記載事項の他に相対的記載事項や任意的記載事項を記載することもできます。相対的記載事項とは、法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項のことをいいます。

定款に記載する事項(3種類について)

定款に記載する内容は、法律上の区分けで見ると「絶対的記載事情」「相対的記載事情」「任意的記載事情」の3つになります。会社法によって一定の基準が設けられているため、これに準じていない定款は、認証を受けられませんから注意しましょう。

絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。下記の5項目が欠けていたり違法性があったりすると、定款そのものが無効になってしまいます。

商号

商号とは社名のことです。事業内容をイメージしやすい名前や会社の雰囲気を伝える名前、理念を込めた名前など、さまざまな決め方があります。個人事業主から法人化する場合は、屋号を引き継いでもかまいません。
ただし、銀行など他の法律で規制される名称を使うことはできません。また、有名企業の名前を連想させる社名を付けたりすると、不正競争防止法により損害賠償を求められることがありますので、注意が必要です。商号を考えるときには、類似する社名がないかをあらかじめ確認しておきましょう。類似商号は、法務省のWebサイト「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について 新規ウィンドウで開く」や本店所在地を管轄する法務局に行って、専用端末を利用して調べることができます。

事業目的

事業の目的とは、会社としてどのような事業を行うのかを具体的に明記したものです。事業目的を記載することで会社としての実態が分かりやすくなり、取引先や金融機関などからの信用を得ることができるようになります。

事業の目的を記載する際には、「事業の目的に違法性がないか」といった適法性や、「会社として利益を上げることができる内容になっているか」といった営利性、「事業の目的が曖昧になっていないか」といった明確性に注意しておくと良いでしょう。

また、事業の目的はその記載に上限が設けられていません。そのため、目下は主な事業とはしないが今後進出する事業についても記載をしておくと良いでしょう。

本店所在地

本店所在地とは、事業所の住所のことです。法律上の住所であるため、実際の事業活動地と異なっていてもかまいません。自宅を事務所とするケースや、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所を登記する方法もあります。ただし、後で事務所を移転すると登記の変更手続きと登録免許税が必要になるため、長期的に業務を行う場所を所在地に定めましょう。

将来、同一区画内で移転する可能性を考慮し、所在地を最小行政区画(東京23区内なら区、郡なら町・村、それ以外は市)までの記載にすることも可能です。◯丁目◯番地まで記載する場合、ハイフン等で省略せず正式表記での記載が必要です。ただし、◯丁目◯番地まで記載していると、もし将来的に本店を移転するとき、同じ市区町村内でも定款変更の手続きが必要になります。

なお、同一住所に同一の商号がある場合は、登記ができません。レンタルオフィスやバーチャルオフィスの場合は、特に類似商号への注意が必要です。

資本金額

資本金とは、事業を運営するために必要となるお金のことであり、株主が出資したお金です。定款には、会社を設立する際にいくらの出資をしたのか、その金額を記載する必要があります。資本金額の考え方は様々ですが、融資による資金調達のしやすさや取引先に与える印象、売却の際の会社の価値などを考慮して決めると良いでしょう。

発起人の氏名と住所

発起人とは、会社を設立する時に資本金の出資や定款の作成といった、会社設立の手続きを行なった人のことを指します。定款には発起人となっている全員の氏名と住所を記載する必要があります。

相対的記載事項

相対的記載事項は、必ずしも定款に記載しなくても問題はありませんが、記載がないとその事項について効力が生じない事項のことです。例えば、株式会社の場合、具体例として下記のような事項があります。自社に該当するなら記載しておく方がいいでしょう。

株式の譲渡制限に関する規定

株主総会における議決権を持つ株主が頻繁に変わると、安定した会社運営の妨げになることがあります。そのため株式会社は、「株式を譲渡するには株主総会の承認を受けなければならない」というような定めを定款に記載することができます。

株主総会の招集通知を出す期間の短縮

株主総会を招集するには、通常2週間前までに通知を出さなければなりませんが、定款によって短縮することができます。

役員の任期の伸長

役員にはそれぞれ任期があります。会社法では取締役の任期は2年、監査役は4年ですが、非公開会社であれば、定款に記載することによって最長10年まで伸長することが可能です。

株券発行の定め

株券とは、株式の保有を明らかにする有価証券です。会社法においては、定款に株券を発行する旨を明記しない限り、株券不発行会社(株券を発行しない会社)となります。

変態設立事項

相対的記載事項のうち、会社の財産に大きく影響する重要なものを変態設立事項といいます。

任意的記載事項

任意的記載事項は、定款に記載してもしなくてもいい事項です。法律や公序良俗に反しない限りは、会社が任意で決めた事項を定款に記載することができます。ただし、定款に記載した以上、その内容を変更したいときには定款変更の手続きが必要です。

なお、任意的記載事項については、定款に記載しなくても、社内規定などに明記すれば効力が認められます。株式会社の場合、任意的記載事項の記載例としては、下記のような内容が挙げられます。

株主総会の開催規定

定時株主総会は、決算から一定時期のうちに開く必要があるため、その時期を記載します。

役員報酬に関する事項

役員報酬は、会社法によって「定款または株主総会の決議によって定める」となっています。ただし、定款に役員報酬に関する事項を記載する場合も、「株主総会の決議で決める」旨にとどめるケースがほとんどです。

事業年度

事業年度とは、会社が決算書を作成するために区切る年度のことです。事業年度を定めるには、決算月をいつにするかを決める必要があります。事業年度が1年を超えなければ、決算月は自由に決めることができます。そのため、会社の繁忙期を避けて設定するのが一般的です。

定款の形態

定款には、用紙やフォーマットなどに決まりはございませんが、A4縦で横書き、文字色は黒のみとなります。また、末尾に発起人全員の氏名を書いた上で捺印するなど、いろいろな決まりがあります。手書きで作ってもいいですが、鉛筆は不可です。また、定款は最低でも「保存用」「公証役場提出用」「法務局提出用」の3部が必要となります。

尚、PDFファイルによる電子定款を作成することも可能であり、この場合、4万円の印紙税が節約できます。ですが、認証を受けるためには、有料版のPDF作成ソフトやICカードリーダライタなどの機器が必要となりますので、最初からソフトウェアや必要機器を持っていない限り、代行業者に依頼することになります。

設立登記とあわせて定款を提出

作成した定款は「設立登記申請書」とあわせて法務局に提出します。登記が完了すると、晴れて会社設立となります。

ちなみに設立登記とは、会社の法人格を取得する手続きのことです。設立登記は本社の所在地を管轄する法務局に、会社形態に合った「設立登記申請書」を提出することで申請できます。なお、管轄の法務局については、法務局の公式ページから検索が可能です。各庁の「商業・法人登記管轄区域」を確認し、本社所在地を管轄する庁で申請手続きを行いましょう。なお、申請は窓口のほか、郵送やオンラインからでも可能です。

そして設立登記の申請に際して、会社の定款や登記に記載すべき事項の電子データディスク、資本金の払い込みを証明する書面、印鑑証明書などの添付書類があわせて必要になります。会社の形態ごとに必要となる書類が異なるため、法務局等に確認したうえで申請を行いましょう。

まとめ

定款作成にあたって、絶対的記載事項のみを定めて公証人の認証に臨むことも可能ですが、それでは会社規則としては不適切です。
定款は、内外の関係者に、会社の所有者たる株主の会社運営に対する基本姿勢を示すものです。絶対的記載事項のみだけではなく、起業時で分かる範囲の相対的記載事項と任意的記載事項も入れるようにしましょう。

定款の認証を受けたら、いよいよ株式会社設立の登記を行うことになります。提出に必要な書類などを用意し、登記手続き、税金などの届け出が終わったら、会社運営スタートです。定款の作成・認証は、まさに会社設立のクライマックスです。不備のないように準備をしましょう。

(参考記事)株式会社の定款認証について

また、会社登記を行う際には、専門家である司法書士に依頼することもお勧めします。司法書士とは、法務局や裁判所、検察庁における手続きのサポートをする専門家です。

(参考記事)法人登記は司法書士に任せよう! 司法書士の業務とは?

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