ここ最近、都心部でも良く見かけるようになった、移動式の飲食店「フードトラック」。
2009年から話題となり、2015年から急激に人気となってきています。2014年に映画「chef 三ツ星フードトラック始めました」でも一流シェフの主人公がフードトラックで各地を回るという、映画が公開されましたが、それだけフードトラックの人気が高まってきています。
ここではフードトラックで開業する場合の開業資金や、各種許認可、注意するポイントなどを書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
フードトラックとは?
フードトラックは、調理設備のある車両のことで、キッチンカーやケータリングカーとも呼ばれています。軽食の移動販売やケータリングに用いられ、コロナ禍によるテイクアウト需要で広く知られるようになりました。
フードトラックで開業するためには許可が必要
フードトラックを始めるには、保健所での営業許可取得が必須であり移動販売の準備において最も重要と言っても過言ではありません。
保健所はおおまかに以下のことをチェック項目としてあげています。実際に移動販売車を購入したり、レンタルしたりするときはこの要件を満たしているかどうかをチェックしてください。
保健所がチェックする内容
・調理場と運転席はしっかりと区切られているか
・シンクの数は充分か
・石鹸を常備していて清潔を保てる状態か
・換気はしっかり考慮されているか
・棚の設置は移動販売をできるレベルか
・給水タンクは設置され容量は充分か
・排水も設置され容量は充分か
営業許可の種類
移動販売の営業許可には種類があります。「食品営業自動車」と「食品移動自動車」の二種類です。
食品営業自動車
・できる業態:飲食店、喫茶店、菓子製造
・詳細:生ものを扱うことはできない。営業車内での調理加工は、小分け、盛り付け、加熱処理など簡単なものに限る
※この種類がケバブやクレープ屋さんなどにあたります。いわゆるキッチンカーです。
食品移動自動車
・できる業態A:食料品など販売、乳類販売業、食肉販売業
・詳細A:営業車内で取り扱う食品は、あらかじめ包装されたものに限る。営業車内での調理加工は行わない。
・できる業態B:魚介類販売業
・詳細B:営業車内で取り扱う生食用魚介類は、あらかじめ包装されたものに限ること。(丸ものは除く)。営業車内での調理加工は行わない。
※この種類がお弁当屋さんなどの移動販売になります。
都道府県ごとに許可を取る必要がある
こちらは特に気をつけていただきたいです。仮に日本中を旅しながら移動販売をやろうとすると営業許可をとるだけでもそれなりの費用がかかりますし手間もかかりますので、そのつもりでいてください。特に、キッチンカーをレンタルする場合はどの都道府県で許可が取れているかが課題になりますので、しっかりとチェックするようにしてください。
フードトラックの開業資金はどれくらいか?
実際、通常の飲食店をテナントを借りて開業するとなると、大きくお金がかかる部分として、「物件取得費用(保証金)」「内外装費」「厨房機器、店内設備費」があります。保証金はおおよそ家賃の10ヵ月分程となっており、それにプラスして、前家賃、礼金、仲介手数料などがあり、合計で家賃の12~15ヵ月分程となります。
例えば家賃が50万円の物件であれば、初期費用として600万円~750万円程となり、それだけでも、自己資金のほとんどが無くなってしまいます。さらに物件がスケルトンタイプの場合の内外装費用として1坪(3.3㎡)あたり30万円~50万円の装費がかかってしまいます。店内設備もテーブルやいすを揃えるだけでも、数十万から数百万もかかってしまい、開業するだけでも相当な費用が掛かってしまう為、開業を諦めてしまう方も多いかと思います。
しかし、フードトラックでの開業のメリットとして、初期費用が極めて低いというメリットがあります。まず、家賃というものがない為、当然、物件取得費というものが無く大幅に開業費用を抑えることが出来ます。
また、お店の雰囲気を決める内外装費というものも、車の塗装や飾付けなど、安価で終わってしまう為、ここでも開業費用を抑えることが出来ます。最後にテーブルやいすなども出すことが出来ない為、費用は全く掛かりません。
このように、初期でかかるものとして、自動車の購入ということはありますが、開業費用に注目すると通常の飲食店より圧倒的に費用が抑えられるといったメリットがあります。
また、通常の飲食店であれば、お店の場所を変えることが出来ず、特定の立地で商売を行うことしかできませんが、フードトラックでの開業のメリットとして、「いつでもお客さんのいる場所に行ける」といったメリットがあります。
フードトラックでの開業で注意するべきポイント
最後にフードトラックでの開業で注意するべきポイントについて説明します。
自動車(トラック)選び
まず、注意するポイントとして気を付けたいのが、メインとなる自動車選びです。これは「新車」「中古車」「レンタル」の3種類があり、どれを選ぶかによって費用と使いやすさが決まってきます。初期費用は通常の飲食店と比べ、費用を抑えることが出来ると書きましたが、開業する上で一番費用が掛かる部分が自動車選びとなりますので、目的にそったものを選びましょう。
メニュー
次に扱うメニューについてです。フードトラックで提供するメニューとして、注意しなければならないのが、液体のメニューです。テイクアウトと同様な販売方法なので、その場で食べるお客さんもいれば、持ち帰って食べるというお客さんもいます。持ち帰りの際、商品がこぼれてしまってはいけない為、商品を入れる容器もしっかり密閉できるものを選びましょう。また、運転する場合も液体物はこぼれてしまう危険がありますので、注意しましょう。
衛生管理
次に衛生管理です。これはフードトラックに限りらず、飲食店全般に言えることですが、特に夏場など、外気温が高い場合は少し外に食材を置いておくだけで傷んでしまう為、徹底した衛生管理が必要となります。
許認可
最後に営業許可はしっかりとるということです。これを怠ると営業停止どころか、刑罰の対象となりますので、各種届出関係は必須で行いましょう。
まとめ
フードトラックは、社会情勢やインターネットの発達から、今後の需要が見込まれています。飲食店を開業したいと考えている方は、選択肢のひとつとして検討してみるのも良いでしょう。