基本的に、金融機関は融資実行者の実績を見て融資の判断を下します。創業融資を目指すほとんどの方は創業前、創業後間もなくの方ですから実績はありません。しかし、皆様が培われた事業経験や経歴・資格などは、創業融資時においては実績に「変える」事が可能です。
今回は、創業融資の代表的な金融機関である「日本政策金融公庫」の事業計画書の事業経験・経歴の書き方を例に解説していきます。
目次
日本政策金融公庫の「経営者の略歴等」を書くポイント
「経営者の略歴等」とは、事業主がこれまでどんな仕事をしてきたか、どんな経験・実績を積んできたかを書く項目になります。
「経営者の略歴等」も、日本政策金融公庫が『この人は、しっかり事業を行うことができるか』と、融資をどうするかを決める重要な判断材料になります。融資を受けるためには、説得力のある経歴や実績を全て細かく書いていくことが大切になります。
そして、IT系の経歴の方に多いのですが、専門用語が多く、本人の自己満足に陥っている文書は基本的にNGです。日本政策金融公庫の融資担当者は、あなたの経歴書だけを読むのではありません。たくさんの融資希望者からの経歴書を見ないといけません。そのなかで分かりにくい経歴書は、後回しになることは容易に想像できます。時間にゆとりのない融資担当者が理解しやすい文言を心掛けるようにしましょう。
また、過去の勤務先でどのような経験・知識を得て、どんな実績でその勤務先に貢献したかを分かりやすく記しましょう。当たり前ですが、前職で成果を出していないヒトの創業は後押ししにくいものです。実績が容易に判断できる経歴書は創業融資の必須といえます。
日本政策金融公庫の「経営者の略歴等」作成のコツ
事業に関する経歴・実績は、説得力のある・証明できるものを書く
例えば、経営コンサルティング事業で融資を受けるのであれば
学歴・職歴
〔例〕
・平成〇年〇月 〇〇大学卒業
・平成〇年〇月 株式会社○○入社 ○○部所属
・平成〇年〇月 株式会社○○入社 ○○部マネージャー
資格
〔例〕
〇〇大学MBA取得(平成〇年〇月取得)
受賞歴(過去の勤務先の社内表彰も書いても良い)
〔例〕
・平成〇年〇月 社内営業成績1位
・平成△年度 顧客満足度1位表彰
などが説得力のある、もしくは証明できるものです。それらが1つでもあれば『私はこの事業を行うための知識・やり方を知っています』というアピールになります。
書くことが少ない場合は起業する事業に関わる経歴・実績についての内容・学んだことを書く
上記で事業に関わる経歴・実績は説得力のある・証明できるものを書くと良いとご説明しました。しかし、なかには『自分は経歴・実績について書くことが少ない』と感じる方もいるでしょう。その場合は、経歴・実績についてどんなことをしたのか、なにを学んだのかを書きましょう。
〔例〕
平成〇年〇月 株式会社○○ 営業部所属
営業の仕事を通じて、顧客とのコミュニケーションの取り方や提案・情報収集の方法を学び、〇〇会社に対しては〇年間の取引を継続しました。
金融機関側の信頼を勝ち取るには、重要な部分となってくるため、どんなに細かいことでも書けることは書き、積極的にアピールすることが大切です。
感情・自信・予測など不確定な物は伝わりづらいので、『私はこの事業をしっかりと行うことができる』という説得力を出すために、事業の経験等は客観的(時間・期間・学歴・資格・受賞歴・回数・推薦状など)に他人が図れるものを書くようにしましょう。
まとめ
どうしても起業する事業が今までの経験がない場合、経歴として事業計画に書きにくい部分がありますが、もう一つ解消する手段として、足りない部分をパートナーで解消する方法があります。例えばIT系の事業を起こす方に多いのですが、融資を受ける起業家はIT会社の営業に在籍されていた方でもう一人がシステムを構築する方がパートナーの場合なら融資担当者も安心になります。
創業融資を受けるにあたり、自己資金と個人信用情報と並び、経歴は大変重要になりますので、より具体的にアピールする文章や内容にしましょう。