飲食店の経営状態を確認する中で、重要とされているのが損益計算書(PL)です。PLはProfit and Loss statement(PL:プロフィット(利益)&ロス(損益))の略称になります。損益計算書(PL)がなぜ重要なのかというと、店舗がどれだけ儲かっているかを把握でき、かつ次にどのような行動をとるべきかを判断できるからになります。
今回は、飲食店経営に欠かせない損益計算書(PL)の作り方について解説します。
損益計算書(PL)の分類(項目)について
損益計算書(PL)の科目を大きく分類すると、「売上」「原価」「経費」「利益」の4つがあげられます。
もう少し細分化すると下記になりますが、諸経費や初期条件費用については、更に細分化して損益計算書(PL)を出すケースがあります。
・①売上高(お店の全体売上げ)
・②原価(売上を獲得するために使った食材費など)
売上純利益 (売上高①-原価②)
・③人件費(お店の人に関する費用)
・④諸経費(光熱費、通信費、専門家費用、消耗品(雑品)、交通・交際費、販売促進費、広告宣伝費など)
・⑤初期条件費用(地代・家賃、支払い金利、 減価償却費、リース料など)
営業利益(売上げ純利益-(販売管理費③~⑤合計))
売上から原価を引いたものを売上総利益または粗利といいます。人件費や諸経費、初期条件費用を販売管理費、略して販管費といい、売上総利益から販管費を引いたものを営業利益といいます。
損益計算書(PL)において注目すべき数字とは?
まず、注目すべきは売上に対して原価の占める割合です。この「原価÷売上」を原価率といいます。原価率は一般的に飲食業で平均すれば30%程度といわれていますが、同じ飲食業でも業態やビジネスモデルによって変わってきます。
(参考記事)【飲食店開業】メニュー開発のポイントと原価率について
次に注目すべきは、社員やアルバイト・パートの給料である人件費です。「人件費÷売上」を人件費率といいます。飲食業ではFLコストと呼ばれています。FLコストは「原価+人件費」のことで、このFLコストが売上の55%~60%以内におさまると、利益が出ると言われています。飲食店の場合の、収入に占める支出で大きな%を占めるFLコストを管理することが、利益の確保に大変重要になります。
※FL:フード(食材)&レイバー(労働:賃金)
販売管理費には、人件費以外にも賃料や光熱費・広告費などがあります。まず、賃料のコントロールは難しいですが、利益を出しやすくするためには、「初期条件費用」をできるだけ低く設定する必要があります。出来れば売上の20%以内にしたいところです。
飲食店経営にあたり、まずは原価と人件費を管理することを意識しながら、抑えられる費用は抑えていくことを考えましょう。
売上想定を出しましょう「売上の算出方法」について
損益計算書(PL)の分類である売上を算出する際、用いられるのが、「客単価」「席数」「稼働率」「回転率」の4種類となります。
・「客単価」:お客さん1人あたりのお支払金額
・「席数」:店内の合計の席数(スタンディングの場合はテーブルの前に立てる人数)
・「稼働率」:1卓あたりの平均的な着座数
例えば4人席に3人座った場合、稼働率は75%になります。
・「回転率」:1座席あたり、座った客数
例えば30席ある店内で1日にお客さんが90人来た場合は「300%」となります。
上記を元に売上は次のように算出できます。
売上=席数×稼働率×回転率×客単価
例えば、客単価が1,000円、席数25、稼働率75%、回転数1の場合、1日の売上高が¥18,750になります。当然ですが、ランチタイム、ディナータイムといったような営業の仕方をする場合はそれぞれの客単価、客席稼働率、回転数で、昼と夜を別々に計算し、昼と夜を足して一日の売上高を出します。
単純に売上目標〇〇円と考えるのではなく、前述のように綿密に算出しましょう。
まとめ
損益計算書(PL)は飲食店を開業するにあたり大変重要ですが、作ることが目的であってはいけません。いかに営業利益を出すかを主軸に、売上げを増やす方法を検討したり、無駄な経費を減らす指標に使っていきましょう。